楽器職人見習いと読書仲間


お前、昨日テレビ観たか?








「昨日?」


その問い掛けに顔を上げたものの、言った本人の視線は本に落とされたままだった。

一瞬、空耳だったかと思案する。


「…今の、俺に聞いたのか?」

「お前以外にいないだろ。」

「いや、独り言かと。」

「お前じゃあるまいし。」

「失礼な。」


さすがに俺だって、そこまではっきりした独り言は言わない。

精々言って、鼻歌程度だ。


「それで、観たのか?」

「あー、昨日?何してたっけか…」


何でもいいがこっち見ろよ、お前。

と思いつつ、俺もまた本へと向き直った。


「ドラマあっただろ?」

「ドラマ?」

「2時間ものの。」

「…あー、あれか?原作、小説の。」


そうか、昨日だったのか。

少し前からCMが流れていて、それを見た時点で録画予約したのですっかり忘れていた。


原作も読んだことはあるが、オチが小説とは違うという話なので結構楽しみにしている。


「観てないけど、録画はしてる。お前、観たのか?」

「観た。」


まぁ面白かった、と素っ気なく感想を漏らす天沢に「へぇ」と返しながらまたページをめくろうとして、




「主人公も死んだしな。」




手が止まる。


「…なぁ、天沢。今、何か言ったか?」


むしろ空耳であることを願う。

そう口元を引き攣らせながら恐る恐る顔を上げれば、どこか小馬鹿にしたような笑みを浮かべた天沢と目が合った。


「主人公も死んだしな。」

「おまっ…!」


口が滑っただけかと思えば、奴は確信犯だった。




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(俺はまだ観てないって言っただろうが!)
(それで犯人は、)
(まじで止めろ!)


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アンケートより。
リクエストありがとうございました!




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嘘つき、ロンリー。