楽器職人見習いと同級生
空気の入れ換えは大切です。
「うー…さっみぃ…」
そうぼやきつつ、擦り合わせた両手に「はぁっ」と息を吐きかける。
担任のはた迷惑な提案のおかげで、教室の窓はほぼ全開。
おかげで室内にいながら室外にいる気分だ。
というか、吐く息が白い時点でありえない。
「たかが数分だろ。」
「されど数分だ。」
「ケントって本当に寒がりだなー。」
むしろこの状況で通常運転なお前らが凄い。
周りを見渡せば、冬山の猿集団の如く身を寄せ合うグループが点在していた。
気持ちはよく分かる。
ぜひ俺も仲間に入れて欲しい。
「遠慮せず仲間に入れてもらえば?」
「いや、さすがに女子に混じるのはちょっと…」
だからお前ら、もう少しこっちに近寄ってくれ。
隙間なく寄ってくれ。
そう切実に願ったものの、目の前の二人はどこ吹く風で映画の話をしている。
しかもホラー。
止めろ、ますます寒くなる。
「くそー…こんな時にお子様体温の野球部員はどこに行ったんだ?」
「湯たんぽなら隣の教室にお使い中だ。……あれを見ろ、ケント。」
「んあ?」
そう指し示された先は窓際の席。
視覚的寒さから逃れるため、今まであえて見ないようにしていたそこにいたのは数分前の俺だった。
「あいつなら今、この寒さを分かち合えるはず。」
「!なるほど…」
あまりスキンシップを好まなさそうな相手だが、この際だ、背に腹は替えられない。
ということで、俺は未だ両手を擦り合わせている天沢に向けて突撃することにした。
「冬って公然とイチャつける季節だよなー。」
そう微笑ましそうに俺を見送った友人の言葉なんて気にしないことにした。
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(「あまさわぁ…」そう名前を呼びながら背後からギュッと抱き締めれば)
(「なっ…んだよ…」とうっすら頬を赤く染めながらも抵抗らしい抵抗はなかった)
空気を読むのも大切です。
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アンケートより。
リクエストありがとうございました!
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嘘つき、ロンリー。