文学少女と図書委員
※高校進学後。
※中学の友達も同じ学校に来てます。
本を探して、手に取って、試しに一度その場で開いてみて。
時間があればそのままどこか席に着いて読み進めるし、なければただカウンターに持って行って借りるだけ。
それは今まで何度となく繰り返してきた動作で、そこには特別なことなんて何一つなくて、
「返却期限は二週間なので、忘れないようにお願いしますね。」
「え、あ、は、はい!」
だからこそ油断したのかもしれない。
「待ってよ、雫ー。」
図書室から教室へと戻る道中、追い掛けて来るのはクスクスと囁くような友人達の笑い声。
だけど私は脇目も振らずにただひたすら足を進め続けた。
「雫ったら、あの先輩に見惚れてたんでしょ?」
「ちょっとカッコよかったもんね、あの人。」
「!やだ!そんなんじゃないったら!」
思わず足を止めて振り向けば、意地悪げな笑みが深まる。
確かにあの時の私は突然掛けられた声に驚くほど別のことに気を取られていたし、その一部始終を見ていた彼女達がそう思うのも無理はないと思う。
なんて数分前の出来事を思い返すと、また顔に熱が集まってきてますますからかわれてしまった。
それを必死に否定していると、不意にきぬちゃんからの助け舟。
「そうよねー。雫にはもう彼氏がいるもの。」
「え!嘘!そうなの?」
…いや、どちらかと言えば火に油を注いだだけみたい。
当人そっちのけで勝手に盛り上がりだしたおしゃべりに、「もう知らない!」と歩き出しても誰も追い掛けては来なかった。
「ねぇ、雫。」
ただ一人だけ。
追い付いたナオがこっそりと耳打ちした言葉に、再び足が止まった。
「今の人、何となく天沢くんに似てなかった?」
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キョトンとした顔で私を見上げていた、名前も知らない先輩。
(ただパソコンを見つめていた横顔が、その眼鏡の奥に見えた涼しげな目元が、)
((………聖司くんに会いたくなっちゃった…))
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リクエストありがとうございました!
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嘘つき、ロンリー。