東の乙女と青年


「ケント…」


それはまるで痛ましいものを見るかのような目だった。

その優しさに泣きそうになりながら、気付かないフリをする。


「ヒィさま…カヤはどのような仕置きを受けますか?」

「あの子はもう罰を受けているよ。」


二人の視線の先には一人佇む少女の後ろ姿があった。

小さく震える肩にまた泣きそうになってしまう。


「これから先、あの者以上に愛せる男に巡り会うことはないだろう。」


これ以上の罰はない。

あの若さには酷かもしれないが、それも村の掟なんだよ。


そう母親のように諭す声は遠い。


「お前も村を出るかい?ケント。」

「……いいえ、」


ゆるゆると首を横に振れば、「そうか…」と安堵したような落胆したような吐息が返ってくる。


「その罰、俺も甘んじて受けようと思います。」

「ケント…」

「俺にはカヤを止めることも出来ました。でも、それをしませんでした。」


出来なかった、と言わなかったのはきっと精一杯の虚栄心だったはず。


『あにさまが行ってしまう!』



そう苦しそうに叫んだ幼なじみの横顔に己の姿を重ね、そして伸ばしかけた手に躊躇いを生んだ。


「俺にはもう、カヤ以上に愛せる女はいません。」


そう微笑んだ瞬間、涙がこぼれ落ちていく。




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アカシシに乗った青年とそれを見送る乙女。

そして、その物語を紡ぐひとりの少年。



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嘘つき、ロンリー。