姫の師と谷の守人
※死ネタ注意。
谷を一望出来る場所。
谷の入り口でもあるそこで、旅人を迎え入れては見送り、時として外敵の侵入を防ぐ。
そして何より、谷に吹く風をいの一番にその身で受けるのが守人の習わしだった。
良い風も、悪い風も。
「ケント、が…?」
「…あぁ…」
震える声で「いつ、」と問い返す友に、一つ息を吐き、言葉を続ける。
「もう随分と前だ。今回お前が谷を出て、すぐに」
「、何故、」
「…隣町で発生した、流行り病だ。ケントが真っ先にそれに気付いたおかげで、谷の者に被害はなかったが……」
『なぁ、ジル。』
話しながら再び苦いものが込み上げるのを感じ、必死に飲み込んだ。
長らく旅に出ていたユパにとっては突然の訃報、自分には全てを話す義務がある。
それは風の谷の長として、いや二人の友としての義務だろう。
『ユパに、よろしくな。』
「…遺体は感染する恐れがあると、早々に火葬して…灰は、」
灰は、腐海に。
その瞬間、ユパは顔色の一切を無くしてしまった。
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骨も、灰も、髪の一房さえも。
(その手には何も、遺らなかった)
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アンケートより。
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嘘つき、ロンリー。