山犬の長と背の君


「お前達はどちらも母親似だなぁ。」


子供らと一緒になってじゃれあっていたケントが、不意にそんなことを言い出した。

それにつられるように、そちらへと顔を向ける。


「美しい毛並みに凛々しい眼…いや、これは本当に将来が楽しみだなぁ。」

「……何言ってんだい。」


きょとんと首を傾げる子供らに代わり、思わずそう口を挟んでしまった。

ケントの言葉が照れ臭く、むず痒く、ごまかすように「ふん」と鼻を鳴らす。


「あたしは少し心配だよ。妙に甘っちょろいところは誰かさんに似たようだからねぇ。」


今もほら、ぼけっとした顔でこちらを見る姿がそっくりじゃないか。

なんてからかってやれば、ケントは数回瞬きを繰り返し、笑った。


「はははっ!良かったなぁ、お前達。お前達は父母の良いところばかり受け継いでるようだぞ。」


相変わらず子供らには何のことだか通じていないらしく、退屈になった二頭はケントの腕を抜け出し、そして駆けて行ってしまった。

その後ろ姿を見送って、溜息を一つ。


「誰も褒めちゃいないよ。」


厭味も通じない呑気さ。

それもケントらしいと言えばケントらしいのだが。


「だが、そういうところも含めて、お前は好いてくれたのだろう?」


こちらの心を見透かしたように、そう言ってケントはまた笑うのだった。




--------------
甘くて、(優しい。)
呑気で、(大らか。)

(そんなこと、口が裂けても言えやしないけど)


---------------
アンケートより。
リクエストありがとうございました!




戻る

嘘つき、ロンリー。