山犬の長と獅子神
※シシ神成り代わり。
「……また、会うたな。」
その姿を目にするのは、これでもう何度目になるだろうか。
なんて、ぼんやりとそんなことを考えながらモロは小さく笑った。
我が子らと同じか、それよりも少し小さな山犬。
だがその顔は成熟したように鋭く、老成したかのようにいつも諦めに満ちていた。
そして、それは今も。
「やはり、いくか。」
(あぁ、いくよ。)
「まだいけぬのか。」
(いけないねぇ。)
これももう何度目の問答になるのか。
山犬の問いに返すモロの言葉は何故かいつも音にはならず、だが山犬にはそれで充分のようだった。
溜め息が一つ、こぼれ落ちる。
「何故そうまで生に執着しておきながら、何故容易く己が身を危険に晒す?」
我には分からぬ、と繰り返す山犬にモロが答える。
それはやはり声にはならず、それはしっかりと山犬に届いた。
真っ直ぐにモロの目を見据えながら、山犬の顔が歪む。
「分からぬよ。」
「……そりゃあ、アンタには分からないだろうねぇ…」
目を覚ますと、眼前に迫るのはタタリ神に身を堕とした乙事主の姿。
やれやれと、まるであの山犬を真似た溜め息を吐きながら、モロはその禍々しい躯に食らいつく。
「娘を、返してもらおうか。」
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(名も知らぬ友よ、)
(きっともう二度と会うことはないだろう)
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嘘つき、ロンリー。