東の青年と弟
※ショタ主注意。
おれは今、逃げている。
何から…というか誰から逃げているのかと言うと、それは十近く歳の離れたおれの実の兄からだ。
別にいたずらして怒られたとかけんかをしているとか、そんな簡単な理由じゃない。
…まぁ正直、おれも何でこんなことになったのか、よく分かってはいないんだけど。
きっかけは確か、おれの身長がようやく兄上の腰の高さに届いたという話だったと思う。
「大きくなったな、ケント」と目を細め、自分のことのように喜んでくれた兄上。
それが何だか少し照れ臭くて、でも、だからこそおれは背伸びしなければならなかった。
「これからはもう、子ども扱いしないでくださいよ。」
元々面倒見のいい兄上は何かとおれの世話をしようとする。
だが、おれはもう食事や着替えを一人で出来たし、昼寝をするような歳でもなかった。
だから、
「…そうだな。」
おれの頭を撫でていた手が、止まる。
「兄上?」
もしかして怒らせてしまっただろうか。
そんなおれの心配を知らない兄上は優しく微笑んだまま、そっと俺の頬に触れた。
そして目が合って、
「もう、『子ども扱い』は止めにしようか。」
ぞわっ、と。
何だかよく分からないものが首筋を通った次の瞬間、気付けばおれは兄上に頭突きして逃げていたのだった。
(…これから、どうしよう…)
とりあえず、ヒィさまに相談しに行った方がいいかな。
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(弟が兄を出し抜くのが先か、)
(兄が弟を捕まえるのが先か、)
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嘘つき、ロンリー。