天地と番犬


あ、やべ。

そう思った次の瞬間には視界が揺れていた。


そしてガードする間もなく、ボディーブロー。


「ぅ゙…っ!」


朝から食べた物が一気に逆流してくるかと思った。

何とか堪えた俺、マジ偉い。


なんて自画自賛している間にも、拳や蹴りが容赦なく降り注ぐ。


「あー…始まっちまったのー…」

「ほどほどにしとけよー、寿ー。」


苦笑するガガと愉快そうな善明の声。

馬鹿みたくゲラゲラと笑っているのは康明だろう。


あの野郎、後でぶっ殺す。


(にしてもっ…まじこいつキレどころが分かんね…っ!)


どうやら俺はまた、至るところに散らばった奴の地雷を踏んでしまったらしい。

会話の途中、天地が暴挙に出るのは別に珍しいことではなかった。


そして日常と化してしまったその光景に止めに入る奴もいない。


「っ、ぅあ゙ー…いっでー…」


満足したのか飽きたのか。

散々殴られた挙げ句、最後はいつものように舌打ちで締めくくられた。


無言で倉庫を出て行く天地を見送って、ズルズルと壁に寄り掛かりながら座り込めば、入れ替わりに大東がやって来る。


「…何やってんだ、お前。」

「見りゃ分かんだろ、お坊ちゃんのサンドバックだ。」

「そうじゃねぇ。さっさと追い掛けろ。」

「あ?何で俺が」

「番犬は大変だなー、玄兎ちゃん。」

「死ね、康明。」


ニヤニヤと近寄ってきた康明の顔目掛けて、ポケットにあった100円ライターを投げつけてやった。

見事命中。
ざまぁみやがれ。


「い゙っ…てめっ…!」

「まーまー、康ちゃん。」

「今のはお前が悪いわい。」

「玄兎。」

「…あー…めんどくせーなー…」


急かすように俺の名前を呼ぶ大東にノロノロと腰を上げ、引きずるようにして出入口へと足を向けた。


そして倉庫を出る寸前、後ろから追い掛けてくる康明の声。


「さっさと行けや、馬鹿犬っ!」


足を止めればちょうどいいところにドラム缶があったので、最後にそれも投げつけてやった。







アシンメトリー

誰かが妥協してやんなきゃ。
だろ?


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IMG song by//ス/ガシカ/オ


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嘘つき、ロンリー。