アンジェロとネロの弟分
※最終話その後。
※捏造注意。
ファミリーが壊滅して数日。
何とか生き延びることは出来たものの、反撃に出る余力はなく、一人また一人と消え去っていく仲間の後ろ姿をただただ見送るしかなかった。
せめて旗印になる「誰か」がいれば良かったが、肝心のその「誰か」は行方が知れず。
ようやく居場所が分かったかと思えば、
『後は任せた。』
『…それは、後始末しろってことか?』
『バカヤロウ。』
その足元に転がった「裏切り者の死体」を見下ろして聞き返した俺に、ネロはどこか悲しそうに笑った。
『だったらわざわざこんなところまでお前を呼ばねぇよ。自分で何とかしてる。』
『まぁ…だよな。』
視線を上げれば初めて目にする海が広がり、こんなシチュエーションでなければ少しは感動することが出来たかもしれない。
なんて。
『…そいつが、二度と俺の前に現れねぇように見張ってろ。』
一瞬でも安堵してしまった自分自身を、誤魔化した。
「…それだけ言って俺らを置いて行っちまったんだよ、あの野郎。」
その射撃の腕前と同様にひどいもんだ、と続けてみたが、残念ながら後部座席からの反応はない。
数時間前にそれなりの治療を終えたばかりの上、長時間車に揺られているせいで未だ体調が優れないようだ。
バックミラー越しに見た顔は、元々白い肌をさらに青白くさせている。
弾は外れたのか、それとも外したのか。
俺が着いた時には撃たれたショックで気絶していただけらしいが、それにネロが気付かなかった、とは思わない。
アヴィリオ・ブルーノは数ヵ月前、ネロがどこからか連れてきた男だ。
そしてファミリーを潰し、多くの仲間を喪うきっかけとなった、裏切り者。
一体何があったのか知らないが、本来俺は奴を殺すべきだろう。
そもそも治療などせず放置しておけば、それで全て済む話だった。
(……二度と現れないように、か…)
最後の最後に面倒事を押し付けてきたあの兄貴分は、本当に酷い男だ。
そして今、それに従う俺も、どうかしている。
「…っと、そろそろ次の街だな。」
窓の外を流れる景色の中、その案内板に目を留め、ゆっくりとハンドルを切った。
「まずは金…とりあえず名前か、身分をどうにかして…働き口を、」
「……………」
「あ?」
返事は期待せず一人言のように言葉を続けていると、ぼそっと背後から声が聴こえた、気がした。
もう一度バックミラーに目を向けるが、アヴィリオはやはりその青白い顔を背けたまま外を見やって、
「アンジェロ、だ。」
「アンジェロ?」
反射的に繰り返したそれが人名だと気付くのに一瞬遅れてしまう。
そして「そんな名前の知り合いなんていたか?」と考え込んでいる間に、再び口を閉ざしてしまったアヴィリオがその口許にほんの僅かな笑みを浮かべていたことを、俺は知らなかった。
ロードムービー
(どうせこれから長い長い付き合いだ)
(いつかは嫌でも全てを知ることになるだろう)
(だけど、その時までは、)
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十周年企画より。
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嘘つき、ロンリー。