便利屋と悪徳警官
玄兎という男の人が事務所を訪れて、そろそろ一時間が経つ。
初めはウォリックを指名していた彼だけど、その不在を知るとすぐに何やらニコラスと熱心に『話し込み』始めてしまい、結局私には彼の用件が分からなかった。
ただ目まぐるしく変化するその手が綺麗だと、そう思った。
「ただいまー。」
「あ、ウォリック。お帰りなさい。」
その光景に見入っていると、帰ってきたウォリックに我に返る。
笑いながら「お客さん?」と聞かれ、それに答えようとする前にウォリックの視線は彼を捉えていた。
そして、
「あぁ…来てたの、あの人。」
スッ…と細められた、目。
「ウォリック…?」
「ん?あ、そうだ。気を付けてね、アレッちゃん。あの人、悪徳刑事だから。」
「え?」
「おい。聞こえてんぞ、そこのジゴロ野郎。」
困惑していると、「指がつりそうだ」と忌々しげに吐き捨てながら玄兎がこちらへ近寄って来る。
どうやら『話』は終わったみたいで、いつの間にかそこにニコラスの姿はなかった。
「てめぇ、おせぇんだよ。俺を待たせるんじゃねぇ。」
「ありゃ?何か旦那と約束してましたっけ?」
「あぁ?」
いつものようにヘラヘラと軽口を叩くウォリックに対し、凄む玄兎はまさに『悪徳刑事』そのもの。
まぁ、ウォリックの言うことだし、どこまで本気にしていいのか分からないけれど。
(でも、……)
玄兎を見つめたあの目が何を意味しているのか、何故だか妙に気になってしまった。
【真実と嘘の境目】
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嘘つき、ロンリー。