マイキーとよそもの
こっちに引っ越してきてしばらく経つというのに、未だ佐野以外に親しい人間がいない俺。
それに対し、佐野の方はかなり顔が広いようだ。
どら焼き一個を巡って争ってれば、どこからともなく投げ掛けられる物騒な声援。
河川敷までの道中を並んで歩けば、どこからともなく飛んでくる「チャース!」と体育会系な挨拶。
そして、
「…おい。」
いつだったか俺に話し掛けてきた金色弁髪刺青くんも、どうやら佐野の知り合いだったらしい。
どこからともなく現れたかと思えば、河川敷に座り込んだ佐野と、ついでに俺のことをじっと見下ろしている。
佐野に何か用があるのだろうか?
だが当の佐野は一向に腰を上げる様子もなく、モグモグとどら焼きを頬張ったまま、金色弁髪刺青くんをただただじっと見つめ返すだけ。
そんな二人の様子を、俺もモグモグとみたらし団子を食べながら静かに見守ることにしたのだが。
「…………」
「…………」
「……………」
「……………」
「………………」
「…………分かったよ。」
唐突に、相手が渋々折れた。
というか、え、何?今の。
もしかしてテレパシーか何かか?
まさかこの地域のコミュニケーションって、そんな高等技術を必要とするのか?
だから俺には未だに友達が出来ないとでもいうのか?
なんて軽く混乱しつつも、去っていくその後ろ姿を見送っていると、ふとあることに気が付いた。
そう言えば、佐野の知り合いであんなに近くまで寄ってきたのは今回が初めてだな、と。
他はいつも俺達のことを何故か遠巻きに眺めているだけだ。
(それに名前…佐野が誰かを呼ぶのも、呼ばれるのも、まだ一回も聞いたことがないような…?)
「スキあり。」
「あ。」
すっかり考え込んでしまい、油断していた俺は、最後の団子を佐野に食べられてしまった。
そして、それを合図に第二戦が幕を開けるのだった。
【territory】
(…なぁ、お前の友達、そろそろ一人ぐらい俺に紹介してくれてもいいと思うんだけど?)
(は?ダメに決まってんじゃん。)
(えー…何でだよ?)
(ここ、オレの縄張りだから。)
(何だ、それ?)
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元拍手お礼文
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嘘つき、ロンリー。