兼近と同級生
※小学生レベル以下の下ネタが少々あるのでご注意ください。
兼近は今、自分が置かれている状況について、いまいちよく理解出来ていなかった。
事の発端は数日前まで遡る。
あの頃はまだ中学時代の「ネンショー送り」が効いていて、周囲に一目置かれながら似たような連中とツルんでそれなりに楽しく過ごしていた。
ちょうどクラスに一人、鈴蘭らしからぬ生徒がいたこともあって暇潰しには事欠かなかった。
だからあの日も、いつものように得意のナイフをチラつかせて言いなりにし、適当な相手にけしかけようとして―…
『イジメられっ子ォ!!』
なんて耳元で聞こえた時には目の前が真っ暗になっていた。
あれから数日。
兼近は自分を絞め落とした男、杉本の黒板消し落としの実験台に散々付き合わされ、気付けばすっかり格下パシリが定位置に。
そこまではまだ解る、不良の世界は弱肉強食だ。
杉本のツレにまで軽く扱われるのも、まぁ仕方ない話だろう。
解らないのは今、そのツレの一人である玄兎を自分がおんぶしていること。
そして、両隣を杉本と福田が普通に並んで歩いて普通に話している、この状況だ。
「で、俺は思ったわけだ。上がダメなら下から…次は落とし穴なんてどうよ?」
「また、くっだんねぇことを…」
「穴の中はどうすんの?水?クソ?竹槍?」
「…なんか最後にとんでもねぇのが一つ混ざってなかったか?」
「クソはなぁ…ちゃんと出せるかどうかが問題」
「おい、止めろバカ。そこで話を深掘りすんじゃねぇ。」
「あ、兼近兼近。あそこの自販機に寄ってー。」
「あ、はい。」
「そういや今更だけどよ、何で玄兎はおんぶされてんだ?」
本当に今更かよ!と兼近は思ったものの、勿論それを口にはしなかった。
あれ?もしかして俺の存在って見えてない…?なんて少し不安を感じ始めていたところ、ようやく杉本から話を振られて得たチャンスを逃がすわけにはいかなかった。
というか一刻も早く玄兎を降ろして、ここから逃げ出したい。
そう意を決して口を開こうと、
「何となく?兼近も別に嫌だって言わなかったし。」
「いや、俺は」
「ったく、あんま甘やかすんじゃねぇよ。抱っこ癖が着いちまうだろうが。」
「え?いや、別に」
「福田ぁ、小銭ねぇからくれ。」
「は?嫌に決まってんだろ。」
「あ?じゃあまた何か賭けるか?」
「何飲むかなぁ…ほら、兼近。あっちあっち!」
「……はい…」
結局、何も言えないまま玄兎が指差す方向へ渋々歩き出せば、何やら口論しながらも杉本と福田の二人がその後に続く。
兼近は今、自分が置かれている状況について、やはり何一つ理解出来ずにいたのだった。
どうしてこうなった?
(ついでに言うと、元イジメられっ子が終始何やら嫉妬めいた視線を自分に向けてくることも兼近には理解出来なかった)
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嘘つき、ロンリー。