三浦と中尾と蝶狂い


「ここも、ちぃっと手狭になってきたのぉ…」


廃墟と化したボーリング場。

その一画を倉庫代わりに、ずらりと並べられた単車を見渡して、三浦は頬を掻いた。


「何か考えにゃあ…玄兎?」


そしてふと隣に佇む仲間の様子に気付く。


「何ならァ?浮かん顔じゃのォ。」

「…のォ。こげなことははァ、ええ加減止めにせんかァ?」

「あ?」

「まぁた出よったで。玄兎のええ子ちゃんぶり。」


玄兎の言葉に三浦が眉を顰めると同時に、その逆隣にいた中尾が鼻で笑う。

二人の反応は明らかに芳しくなかったが、玄兎はなおも食い下がった。


「お前らもポリにゃあ捕まりとぉないじゃろ…じゃけぇもう、単車盗むなんて、」

「はっ、お前は三代目に知られんのが怖いだけじゃろうが。」


図星。

黙り込んだ玄兎の顔には明らかにその二文字が浮かぶ。

三浦はわざとらしく、大仰に溜息を吐いてみせた。


「面倒なやっちゃのォ…ちゃっちゃとお蝶をモノにせぇや。」

「ばっ…ワシゃあ別に!」

「ええじゃあないの。そうすりゃあはァ、ワシらにかばちたれんのもおらんようになるし。それに、」


ぐいっと玄兎の腕を引き、その肩に腕を回して顔を寄せる。

そして玄兎の耳元で、


「お前のだぁい好きな二代目と穴兄弟になれるんでぇ。」

「っ…!」


玄兎は三浦の腕を乱暴に振り払い、二人から距離を取るように後退った。

だが怯んだ訳ではない。


「…たいがいしとけよ、ごら。」


低い、低い、声。

玄兎の目が据わる。


「同じチームの仲間じゃあ思ぉて黙っときゃあ…よいよこらえんど。」


そんな玄兎の様子を嘲るように、三浦と中尾はただ笑うだけだった。







ひずむおと

(ここは、濁りの巣)


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嘘つき、ロンリー。