▽悪男SS▽白旗と竜胆寺末弟


ヤマダタロウこと竜胆寺玄兎が入居して早一週間が経過。

「セキュリティー強化の協力のため」という話だったが、今のところ一日一回管理室に顔を出して定時報告する程度で、特別回収を頼むような事態には至っていない。


ついでに入居当初に恐れていたような、白旗を殺そうとする素振りも見られなかったものの、玄兎が来る度にまるで思春期の息子にどう接していいか分からない父親のようにぎこちない白旗の姿に、拓馬は別の意味でハラハラしていた。


「そ、そういや、うちのマンションって十八歳未満は入居出来ないんじゃなかったでしたっけ?」


何とかその奇妙な緊張感を解そうとする拓馬は、ふと玄兎が「学校を辞めた」と話していたことを思い出し、それを雑談として持ち掛けた。

すぐに拓馬が言いたいことを察したらしい玄兎がそれに答える。


「辞めたのは高校ですが、ちゃんと成人はしてますよ。二回留年しているので。」

「二回?」

「二回留年して、三回転校して、四回家出して、五回死にかけました。」

「…………」

「あのイカれた姉のおかげで最終学歴は中卒です。これはもう、家業に専念するしかないですよね?」


そう言って玄兎の視線は白旗へと向けられ、白旗は顔ごと玄兎から逸らした。

どうやら藪蛇だったらしい。

とりあえず拓馬は心の中で白旗に謝罪するのだった。




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(ただ、玄兎がさくらを嫌うのも無理はないな…と思った)

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嘘つき、ロンリー。