三浦と蝶狂い


さほど大きくもない、だがそこそこ力のあるチーム。

亡くなった祖母の教えを守るのに『極楽蝶』ほど適したものはない、とそう話す三浦に納得し、中尾は共にチーム入りすることを了承した。


いや、その話を聞く前から中尾は「きっと三浦は『極楽蝶』を選ぶだろう」と思っていた。


「ちょーちょなら玄兎もおるしのォ…」

「……あ?」


だから何気なく続けた自身の言葉に、三浦が訝しげに眉を顰めるのを見て、不思議そうに首を傾げる。


「あ?じゃけぇ玄兎じゃ、玄兎。あんなァはちょーちょ入り確実じゃし、はァ四代目も取るに決まっとるわい。したらァお前のいう三番手、四番手は楽勝じゃろォが?」


てっきり三浦もそこまで見越して考えているのだと思っていれば、「、あー…」とどこかその反応は鈍く意外だった。


同年代の中では、どちらかと言えば地味な部類に入る玄兎。

だが『極楽蝶』が絡むとそれは一転、あの花山を以てして「ウザい」と言わしめ、陰では「蝶狂い」と揶揄されるほどチームを盲信している。


蝶狂いの、玄兎。

三浦にとってはこれ以上ない隠れ蓑のはずだが。


「…フン。そこまで期待しとらんわい。」

「そうなんか?何でじゃあ?」

「あんなァは三代目が指名したところで、はァ断るど。」

「は?」


一瞬、中尾は虚を突かれ、そしてつい笑ってしまった。


「よいよ冗談キツいで、三浦ァ。」

「………」

「蝶狂いが四代目にならんっちゅーのは、あの花山と原が仲良しこよしじゃあいうぐらい、はァありえんど。」


玄兎を知る人間なら十人が十人、同じことを言うに決まってる。

そう中尾は自信を持っていたが、ただ一人それに異を唱える三浦。


笑う中尾から顔を背け、詰まらなさそうに呟いた。


「…あんなァは蝶狂いじゃ。ただちょーちょを追い掛けたいだけで、自分がちょーちょになる気ィなんぞサラサラないわい。」


そんな三浦の言葉が的中するのは、これよりもう少し後のことだった。





暗闇より覗く

(三浦の予想通り、三代目お蝶の指名を断った玄兎)
(その後釜に納まった三浦は自身の背中に注がれる熱視線を感じ、ようやく一人嗤うのだった)


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嘘つき、ロンリー。