鰐淵と萌子の幼馴染


「その辺にしとけ。」


背後から掛けられた声に、それまでどろどろとマグマのように沸騰していた頭がスッと冷えていく。

と同時に、口元が緩むのを堪えきれなかった。


「…あっは、わーにぶーちくーん?」


遅かったなぁ?と笑いながら振り向けば、突き刺さる敵意剥き出しの熱視線。


まぁ、そりゃそうか。

今、俺の回りにはごろごろと血の海に沈んでいる『奴ら』がいて、集まっているのはその『お仲間連中』だ。


だが、ザコはこの際どうでもいい。


相変わらず読めない表情の鰐淵に真正面から向き直り、胸ポケットから煙草を取り出した。


「下の奴らの躾、ちゃあんとしとけよぉ?さすがの俺も、一年坊主に舐められたら我慢出来ねぇからさぁ…」

「っ、てめ…っ」

「あ?何?ゆーたくん?お前も俺に調教されてぇの?」

「止めろ、ゆーた。」


真っ先に挑発に乗ってきた内海を制止し、鰐淵は怪我人を連れ出すように他の『夜叉神』メンバーへ指示を出す。

それはまるで俺の言動など眼中にないように淡々としていて、思わずくわえたばかりのフィルターを噛んだ。


「…スカしてんじゃねぇぞ、こら。」


引き攣る頬。

握りしめた拳が小さく震え、血管が今にも切れそうだ。


「俺が邪魔ならそう言えよ?なぁ、鰐淵ィ…」


逃げんじゃねぇ。

そう煙草と共に吐き捨てれば、グラサン越しに目が合い、


「…別に、邪魔だなんて思っていない。」


いや、前言撤回。


奴には俺の存在など、眼中にないようだ。







これも一種の片想い

(見下してんじゃねぇよ、くそが)


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嘘つき、ロンリー。