千冬と『曼呪沙華』


「ふふっ、お疲れ様ー。」


最後の一人をぶっ飛ばし終えたところで、誰かがするりと俺の腕に絡んできた。

それを確認する必要はなく、というか気力もなくて溜息を吐いた。


「なぁ、次はどこ行くー?」

「…とりあえず離れろ、千冬。」


こんなことをしているから、余計な喧嘩を売られる羽目になるんだ。

そう進言したところで、千冬の奴は聞いちゃいない。


それどころか勝手に次の目的地を決め、楽しげに俺の腕を引く姿はどこからどう見ても、



『んな地味男じゃ物足りねぇだろ?ねぇちゃん。』



思い出したのは、ニヤニヤと笑いながら俺と千冬を見比べた男共。

無知とは本当に恐ろしい。


何も知らない奴らは的確にその地雷を踏み抜き、結果、全員が地面に転がった。


「そんなに女に間違われるのが嫌なら、紛らわしい行動を止めろっつーの。」


そして、自分の代わりに俺に喧嘩させるな。

職権濫用もいいところだ。


千冬の顔も見ずにその手を振り払えば、「ちょっとー」なんて少しかわいこぶった声がしたが聞こえないフリをして足を進める。


すぐにまた捕まってしまったが。


「オレ、玄兎の彼女に間違えられるのは結構好きなんだよねー。」


だから彼氏が彼女のために喧嘩すんのは当たり前だろ?

なんて平然と返された言葉に思わず舌打ちする。


「まじ、ねーわ。」








カレとカレ

(実はチーム内ではすでに公認だったり)


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嘘つき、ロンリー。