ゲンゲンと同級生
源元はバカである。
俺も頭の出来はあまり良い方ではないが、それを上回るバカである。
バカではある、が根はいいやつなので割とよくツルんでいる。
そう、根はいいやつなのだ。
バカだけど。
「…なぁ、玄兎。もしかしてお前、俺のこと嫌いなのか…?」
「おい、一体今まで何聞いてやがった?」
人が折角褒めてやってんのに、と言うと「褒められてる気がしねぇよ!」と反論してきた源はまぁ、とりあえず脇に置いておくとして。
話を元に戻そう。
そんなバカな源に、ある日突然『彼女』が出来た。
「……おい、頬を赤く染めるな。気持ち悪い。」
初めは何の冗談か、何と虚しい嘘なのかと疑っていたが、どうやらそうではないらしいとすぐに思い直した。
だって源、バカだし。
そんな嘘が吐けるほど、器用でもなさそうだし。
で、俺は以下、三つの可能性を考えた。
1、美人局。
2、二次元嫁。
3、妄想。
1ならまぁ、それも一つの社会勉強だ、よほど危険でない限りは温かく見守ってやろうと思った。
2も別にいい、趣味は個人の自由だ、俺を「玄兎氏」とか呼びださない限りは生温かく見守ってやろうと思った。
問題は3だ、この場合、俺は心を鬼にして奴を病院にぶち込んでやらなければならない。
そう思い悩んでいた矢先、事件は起きた。
「なぁ、源。お前は昨日、俺の誘いを断ったな?」
「!そ、それは急にユイに呼ばれて」
「あぁ、そう言って断った。俺もそれを了承した。問題はその後だ。俺はヒマ……お前が心配だったからお前の後を尾けた。」
「…なぁ、今、ヒマって言ったか?」
「大事なことなので、もう一度言っておく。お前が心配だったから、お前の後を尾けた。」
「…………」
「それから多分、待ち合わせ場所だろう駅前に着いた。それで?『ユイ』ちゃんは来たか?」
「……………」
勿論答えは知っている、『ユイ』は来なかった。
そして俺から目を逸らしながら「いや、それが『急用が出来た』って…」と何やら言い訳する源には悪いが、実は尾行したのは今回が初めてではなかった。
これまで数回尾行し、数回とも俺は『ユイ』の姿を確認することが出来なかったのだ。
つまりはそういうことだ。
「…大丈夫だ、源。俺はお前を見捨てたりしない。」
「は?」
「目ぼしいところはちゃんといくつかパンフレットを取り寄せてある。どうだ?ここなんて良いぞ。施設は綺麗だし、看護婦さんも美人が多い。」
「え、何?何?」
「学校は、お前が希望するなら休学扱いも出来るらしい。退学するにしろ何にしろ、手続きのやり方もばっちりだ。」
「ちょ、待て!どういうこと!?」
礼には及ばん、と言うと「いや、意味が分からねぇ!」と騒ぎだした源はとりあえず脇に置いておくとして。
いや、待てよ?むしろ、ここは俺の方が礼を言うべきところか?
「ということで源、ありがとな。」
「いやだから何がっ!?」
まさかの大穴に、おかげで俺の懐は今ホクホクだった。
ゴチになりました。
(数日後、『ユイ』にフラれたと落ち込む源に「どうしてフラれたのか」と根掘り葉掘り聞き出そうとする玄兎の姿が)
(今のところ、一番人気は「バカだから」)
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嘘つき、ロンリー。