三途と下っ端


※原作軸未来(梵天)。







 
「うっわー、三途サン。まじかっけースわー。サイコーソンケーしてるっスー、つーわけで俺の携帯マジ返してくださいお願いしますッ!」


誉め殺しから流れるように土下座に移った男を見下ろして、三途が鼻で笑う。


「ハァ?ダメに決まってんだろ。」

「ッ、クッソッ!土下座損ンンッッ!!」


ドンドンッと床を叩く音に眉を顰めたのは、そんな二人の様子を端から眺めていた九井だ。


最近よく見掛けるその顔は『梵天』の末端も末端に属しているという、玄兎という男。

前に一度、暇潰しがてらどの辺りで仕事をしているのかと探ったことはあるが、本人の申告を含めても未だによく把握できていない。


そんな本当に『梵天』の人間なのかも疑わしい、本来ならば幹部が存在さえ知ることのなかった男を、三途は一体どこで見付けてきたのか?


「だからぁ、コレのパスワード教えたら返すって、さっきから言ってんだろぉ?」

「だからっ!それだけは勘弁してくださいって、さっきから言ってんじゃないっスか…っ!!」

「テメェに拒否権はねぇよ。いいからさっさと吐け。」
 
「うぐっ…!?」


ニヤニヤ笑いながら、未だ土下座を続ける玄兎の後ろ頭を踏みつける三途。

持ち物を取り上げて甚振るその姿に「ガキかよ」と呆れていたのは確か竜胆だった。


携帯、財布、家の鍵。

レンタル中のビデオを隠して、強制的に延滞料金を発生させたこともあった。


三途が不釣り合いなママチャリに乗って事務所に現れた時にはひどく衝撃を受けたのもよく覚えている。

ちなみにその後、汗だくで現れた玄兎の話では、コンビニでアイスを買っている間に盗られたらしい。

というか、お前もママチャリでコンビニに行くな。



『なぁ?こいつ、面白ぇだろ?』



「それとも何だ?見せられねぇようなもんが、この中に入ってんのか?じゃあスクラップだなぁ?」

「!めめめ滅相もごぜーませんッ!ボスの待受だとかボスの隠し撮り写真だとかなんてとんでもないッ!」

「よし、スクラップ決定。」

「ちょ、三途サンんんッ!!?」


とびきりの笑顔を浮かべる三途の足にとうとう縋りつき始めた玄兎。

もうしばらく続きそうなその茶番劇に、九井はウンザリするのだった。




明日はごみの日。

(魚の餌にさえ、なれませんでした。)


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こっそり悪男祭より。
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嘘つき、ロンリー。