場地と弟


※原作軸過去。










「マーくん。」


恐れ多くも、東京卍會総長副総長の会話を遮る声。

だが二人ともその声に、その呼び名に心当たりがあったのか、特に気にすることなく振り返った。


少し癖のある黒髪に、鋭い吊り目。

東卍メンバーなら誰もが一瞬、どこか既視感を覚えるその顔は―…



「バニーじゃん。」

「…それ、本当マジで止めません?」

「んなことよりお前、こんな時間にこんな所に来てたら、また兄貴がうるせーぞ?」

「仕方ないでしょ。その兄貴に忘れものを届けに来たんですよ。」


ドラケンの忠告に、相手は手に持っていた忘れ物らしき財布を振って応えると、「それで、けいちゃん知りません?」と言葉を続けた。


東京卍會壱番隊隊長、場地圭介の弟、場地玄兎。

マイキー命名により、場地二号で「バニー」と呼ばれている。不本意ながら。


チームには属していないが、壱番隊隊長の弟であり、総長マイキーの幼馴染みでもあるために集会などはほぼフリーパスだ。

特に反対する者もいない。


ただ一人を除いて。


「…玄兎。」

「あ、けいちゃん。」


自分より幾分鋭さの増したその眼差しに睨まれながらも玄兎は構わず、それどころかどこか嬉しそうにその名を呼んだ。

そして用件が済んだ二人に「じゃあマーくん、ドラケンくん。お邪魔しました」と会釈すると、そのままそちらに足を向ける。


「けいちゃん。財布、忘れてったっしょ?」

「あー…ワリィ。」

「この間破った約束の埋め合わせに、帰りにケーキ買ってきてくれるって言ってたじゃん。お金なくて、どうやって買うつもりだったわけ?」

「だから、悪かったって言ってんだろうが。」

「全然反省してるように見えねぇんだけど?」


噛み付く弟に煩わしげな兄。

端から見れば、普通に仲の良い兄弟に見えたことだろう。


確かに実際、二人は仲の良い兄弟だ。


と、不意に場地が少し屈むようにして玄兎に顔を寄せる。

兄のその長い髪が弟の横顔を隠してしまうほど、それは近く、近く―…



「あの二人、またイチャついてる。」



そう誰かが笑った。





仲良きことは、

(東卍名物『バ(ジ)カップル』)


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リクエストより。
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嘘つき、ロンリー。