藤代と後輩


拓海が武装入りし、将五も戻ってきた。

これでいよいよ俺達7代目武装戦線も本格的に始動か、と思っていた矢先。


「ごめんくださーい。」


その男はやって来た。


「すみませーん。どなたかいらっしゃいませんかー。」


静まり返ったスクラップ置き場に響く、間延びした声。

その内誰かが相手すんだろとしばらく放置していたが、いくら待っても誰も出てこない。


どうやら近くには他に誰もいないらしいと気付き、作業の手を止めると舌打ち一つして腰を上げた。


「何か用か?」

「あ、ども。お忙しいところすみません。」


あからさまに無愛想な態度で応対した俺に、相手は特に気にする様子もなくヘラっと笑い返してきた。

その雰囲気は誰かに似ているような気もしたが、顔に見覚えはない。

どこにでもいそうな優男だ。


おかげでその用件に見当が付かず、思わず眉を顰めた。


「俺、黒咲の玄兎って言います。」

「黒咲?」


あまり関わり合いのない学校名、いや、つい最近何かあったような…?

何だったっけか?と首を傾げながらも、とりあえずきちんと名乗った相手を無下にすることも出来ず「それで、用は何だ?」と繰り返し尋ねた。


すると今度は玄兎と名乗った男が、あれ?と首を傾げる。


「えっと……藤代さん、に呼ばれてきたんですが…聞いてません?」

「拓海に?」

「玄兎?」


噂をすれば、という奴か。

タイミング良く現れた拓海に、そう言えば元黒咲だったなと今更ながら思い出した。

何だ、拓海の後輩か。


「どうしてここに?」と不思議そうな顔つきで近寄ってくる拓海に、困ったように苦笑しながら玄兎が肩を竦める。


「やだなぁ、先輩が呼んだんじゃないですか。何か頼みたいことがあるとかないとか…」

「いや、だってまさか、本当に来るとは思わなかったから。」

「えぇ?何すか、それ。」


拓海が来たことで俺の役目はなくなった訳だが、何となくその場に留まってしまった。

拓海の頼み事ってのにも少し興味があったが、何より


「お前は俺のことが嫌いだと思ってたよ。」

「あはは。そんなまさか!」


目の前で和やかに笑い合う先輩と後輩。

だが、どことなく不穏な空気が流れているように感じるのは俺だけか?


そして「やだなぁ、嫌いじゃないですよぉ」と玄兎が一際大きく笑って、


「ただ死んで欲しいだけですから。」







S極とS極
(つまりは、同属嫌悪)

(あぁ、そうか…拓海に似てんのか…)
(そう遠い目をしながら、明はこの場に留まったことを後悔し始めていた。)


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嘘つき、ロンリー。