半間と兄
※原作軸過去。
「修ちゃん。」
「あー?」
「本当、大きくなったよなぁ…」
十ほど年の離れた弟と身長が横並びになったのは、さていつの頃だったか。
小さい頃から甘えん坊の弟は、ソファーの上に横たわる俺の上に寝そべるのが好きで、その習慣は体格がそう変わらなくなった今でも続いている。
俺自身、可愛い弟の成長を実感することが出来てそれはそれは喜ばしい限りなのだが、最近では全身に掛かるその重みが少々辛くなってきており、「俺も年取ったもんだ…」と改めて実感してしまう。
もう少し鍛えた方がいいのかもしれない。
「そりゃあオレも成長期だしィ?その内、兄ちゃんのこと壊しちまうかもなぁ?」
「可愛い弟の成長に押し潰されるんなら、兄ちゃんとしても本望だよ。」
「ブハッ!んだよ、ソレ?バッカじゃねーのォ?」
そう言ってケラケラと笑う弟の頭を撫でていると、不意に俺の携帯が鳴る。
弟が俺の上に乗り上げるのと同時に取り上げていたそれは、当然ながら今弟の手の内にあり、そして俺が止めるより先に舌打ちと共に壁に向かって投げ付けられたのだった。
床に落ちた瞬間途切れた着信音がその後も沈黙し続けているのを見るに、恐らくすっかりご臨終なのだろう。
女か、仕事か、はたまた酒の誘いか。
まぁいずれにしろ折角の休み、それも可愛い弟と一緒の貴重な時間を邪魔しようとする、間の悪い電話など端から取る気もなかったが。
(…いや、一つ報告待ちの案件があったっけな…)
まるで猫のように胸元にすり寄る弟の頭を撫でながら、その手の甲に刻まれた文字に目を細める。
それを施した輩は現在も捜索中。
可愛い弟を傷物にしたのだ、その罪は重く、見付け次第必ず殺す。
いや、本人が気に入ってるようだし、何より似合っているので、特別に半殺しで勘弁してやっても構わないが。
『どーよ、コレ?まぁ兄ちゃんのほどじゃねーけど、イケてね?』
「玄兎兄ちゃん?」
「んー?」
「今何か考えてたっしょ?」
「そりゃ勿論、修ちゃんのことに決まってる。」
そして「罪」と刻まれた手に自分の指を絡めながら、可愛い弟の顔を引き寄せると、その額にキスを一つ落とした。
死神兄弟
(ちなみに、俺の背中一面に刺青を施した彫り師も、今のところ所在不明である。)
---------------
273000hitより。
キリリクありがとうございました!
戻る
嘘つき、ロンリー。