灰谷兄弟とバニー


※原作軸未来(梵天闇堕ち)。
※場地弟主。










竜胆は昔から時々、いや割と頻繁に、兄のことが解らなくなることがあった。

最近で言えば、その「お気に入り」についてだ。


『梵天』幹部の一人、通称「バニー」。

長く伸ばした黒髪はろくに手入れした様子もなく、切れ長の目は大抵伏せられたまま。

基本全身黒で固めたコーディネートなど、その筋の人間というよりもまるで喪服姿のように見えた。


そんな、ふざけた名前とは裏腹に常に鬱々とした空気を漂わせる男の、一体どこがどう気に入ったというのか、蘭は事あるごとによくそれを構っていた。


『なぁ、バニー。』


いつだったか、幹部出席の定例会の帰りもそうだった。

その辛気臭い後ろ姿を不意に呼び止めたかと思えば―…


『オマエ、兄貴いたろ?オマエにそっくりなやつ、見たことあるわ。』


何かの抗争で死んでたけど。

と遠慮の欠片もなく笑いながら言葉を続けた蘭に、流石に竜胆も少し呆れてしまったが。


『そんなにオニイチャンが恋しいなら、オレがなってやろーか?』

『……なれるもんなら、なってみろよ。』





「バニー。」


蘭の呼び掛けに、ゆっくりと億劫そうに振り返ったバニー。

暗い路地に佇むその姿は相変わらず不吉の象徴のようで、だがその表情がほんの一瞬歪んだのを竜胆は見逃さなかった。


「オレら今から飯食いに行くけど、オマエも来いよ。」

「…見りゃ分かんだろ。まだ仕事が」

「んじゃあ行くか。」

「おい、だから」


問答無用でバニーの肩を掴み、歩きだした蘭はニヤニヤ笑うばかりで一切聞く耳を持たない。

そんな兄の様子に溜め息を吐きながら、二人に続いて路地を出ようとしていた竜胆は、不意に聞こえてきた呻き声に足を止めた。


「バ、バニーさ…まっで、まっでくださ……っ……」


そして地を這うように伸ばされた手に目を留め、それがバニーの足に触れるより先に踏み潰した。


「竜胆ー?」

「…あー、今行く。」





無意味なイミテーション

(…まぁ、どうでもいいけど。)


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嘘つき、ロンリー。