三途と近所の少年
※原作軸未来(梵天闇堕ち)。
「こんばんわ。」
そろそろ到着するだろう『王』を待つため、ビルの外に出て一服してると不意に掛けられた声。
一瞬三途は警戒したものの、すぐにその相手を認識して舌打ちした。
「ガキがこんなところに来てんじゃねぇよ。」
「ちょっと通り掛かっただけだよ。これからトモダチと遊びに行くんだ。」
そう言って何がおかしいのかニコニコと笑う玄兎の背後に目を向ければ、確かに玄兎と同じ制服を着た「トモダチ」らしき高校生が数人、少し離れた場所に佇んでいる。
どこか落ち着かない様子でこちら窺っているのは、明らかに堅気ではない三途の雰囲気のせいか。
『梵天』No.2に対して、恐らくそれは正しい感性だろう。
昔近所に住んでいた、というだけで未だにこうして平然と近寄ってくる玄兎の方がおかしいはず。
「ところで、前に頼んでたやつはどうした?」
「あ、ごめん。それはまだなんだ。でも約束の日までにはちゃんと用意するから。」
だからお小遣い、弾んでね。
そう言って悪戯っぽく笑う玄兎を見る「トモダチ」の目は、今後多少なりとも変わるに違いない。
そもそも玄兎のことだ、一体どういった種類の「トモダチ」なのか分かったものでもなかったが。
「それじゃまたね、お姉ちゃん。」
「……あぁ。」
そして、やって来た時と同様にあっさり立ち去っていくその後ろ姿を見送りながら、三途はしばし思考を巡らせてみた。
昔から玄兎が用いる、三途には相応しくない呼称。
それぞれの立場と二人の関係性について。
最早玄兎は男女の違いが分からないほど子供でもなければ、善悪の違いが分からないほど馬鹿でもない。
だというのに、玄兎は笑う。
笑いながら三途のことを親しげに呼ぶ。
いつだったか、玄兎がまだランドセルを背負っていた頃。
三途はその柔らかな頬を両手で包み、何も言わずその指先に力を込めたことがあった。
『おえーあん?』
これから何をされるのかも知らずに、何も疑うこともなく、玄兎はただ三途を見つめ続け―…
「春千夜。」
不意に呼ばれた名前に振り返り、瞬時に満面の笑みを浮かべる三途。
その頭の中からまた、いつかと同じように玄兎は放り出されるのだった。
似たもの同志
(もしもあの時、その顔を傷付けていたら?)
(それでもきっと何もかも、変わらなかったに違いない)
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嘘つき、ロンリー。