三ツ谷と大寿の幼馴染


※原作軸過去。
※聖夜決戦後の話。
※『B/OY』と微クロスオーバーで日々野兄主になっています。











「うるぁー。」


道を歩いていると、不意に気の抜けるような掛け声が聞こえた。

と思った次の瞬間、三ツ谷の膝からガクンと力が抜け、地面に倒れ込む寸前に背後から伸びてきた誰かの腕がその首に回される。


「ぐっ!?」

「よー、タカチャンくん。ちょうど良いところで会ったな。」


突然の襲撃に反射的に抵抗しようとしていた三ツ谷だが、「今から八戒のところに行くつもりだった」と続く言葉に思わず動きを止めた。

それに、先程の掛け声もそうだが、その奇妙な呼び方をする相手に心当たりがあった。


そして、ついに来るべき時が来たのだ、と緊張が走る。


「、玄兎…?」


『膝カックンからのヘッドロック』を決められながら、それでも何とかその名前を口にすれば耳を擽る小さな笑い声。

返事の代わりに解放され、軽く咳き込みながら振り向くとそこにあったのは予想通りの姿。


日々野玄兎。

八戒経由で知り合いになり、「タカチャンくん」という呼び名も初対面時に八戒が「タカちゃん」と紹介したせいだ。
(何度か変更を試みてみたが、逆に面白がられ、結局そのまま定着してしまった)

年の離れた弟が一人いるらしく、三ツ谷と同じ長男坊。

だから、というわけでも別にないが、何となくウマが合ってそこそこ親しくしていた。

悪いやつではない、と三ツ谷は思う。


ただ問題なのは、玄兎が大寿の幼馴染みで、それと同時に天敵であるということだ。


昔から二人寄ると触ると空気がひりつき、仕舞には口を開くより先に互いに手が出るほどの相性の悪さ。

一度凄まじい喧嘩を繰り広げ、見かねた神父が強制的に止めに入って以来、休戦協定のようなものを結んでいたのだが。


「なぁ、タカチャンくん。俺は今、柴大寿という名のゴリラを探してるんだが、どこにいるか知ってるか?」


ちなみに神父とは玄兎の父親で、先日『聖夜決戦』の場となった教会は玄兎の家だ。

なので、近い内、そして確実にかの協定は破られるだろうと薄々予感はしていた。


「大寿が、どうかしたのか?」

「クリスマス、夜遅くに帰宅して目の当たりにした惨状。クソハゲ親父から真っ先に犯行を疑われた俺。年越えた今の今までずっとやらされた罰掃除。」

「…………」

「あの晩、あの場にいた人間は解ってる。もう一度聞くが、あの、ゴリラは、どこだ?」


そう言って笑っている玄兎だが、その目はまず間違いなくキレている。

どんなに犬猿の仲でも流石は幼馴染み、大寿の習慣を知る玄兎をここで誤魔化すのは難しい。


だが、今どうにかしなければ玄兎は恐らく当初の予定通り八戒達の下へと行き、大寿の行き先を聞き出そうとするはずだ。

八戒達がそれを知っているかどうか、どちらにせよようやく兄弟の問題が解決したばかりだというのに、今度は怒れる玄兎の相手ではあまりに酷すぎるだろう。

もしかして柴家は厄年なのか。


(柚葉の話じゃ「大寿は少し変わった」っていうが、相手は玄兎だしな…一体どう出るか…下手すると以前に逆戻り、いやむしろ悪化する可能性も…?ここはもう一度マイキーに頼んで、いやタケミっちに相談してみるか…?)


迷う素振りを見せる三ツ谷に「何か隠している」と思ったのか、玄兎の目が鋭く光る。


その指が、妖しく蠢く。


「そっちがその気なら、秘奥義くすぐり地獄の刑で今すぐ吐かせてやる。」

「……は?」





それは本当の地獄だった

(その後、経緯を知った八戒にひどく心配されたものの)(三ツ谷は顔を赤くするばかりで、玄兎と何があったかは絶対に口を割らなかったという)


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こっそりT卍R祭より。
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嘘つき、ロンリー。