純弥と年上の知り合い


「久し振りだねぇ、玄兎ちゃん。あれからミっちゃんとは仲直り出来たのかい?」

「ぶは!おバぁってばそれ、一体いつの話してんのよ。」


そんなおバぁと玄兎くんのやり取りを何となく横目にしながら、おバぁの煮込みを口に掻きこむ。


相変わらず族をやっているようには見えない玄兎くんは相変わらず得体の知れない人で、実は以前、この団地に住んでいたというのも俺は今日初めて知った。


「そういや純弥くん、南雲くんの誘いを断ったんだって?やるなぁ。」


そして何気に情報通だったりもする。


「なぁ、何で断ったん?相手はあの天下の爆麗よ?怖い先輩でもいたんかよ?」

「いや、俺は別に…」

「忌部?土橋?確かにあいつら、顔怖いもんなぁ。」


そうニヤニヤと笑いながら俺に絡んでくる玄兎くんに、おバぁが「年下いじめんのは止めなぁ」と注意してくれるが、当の本人は聞いちゃいない。

俺はごまかすように煮込みのおかわりを頼んだ。


「それとも久我か?あれは存在が恐いからな。」


そしてふと、本当にこの人はどういう人なんだろうと疑問が沸く。


俺が知っているのは名前だけ。

『どうせ言っても分からない』ような弱小チームだと言って、玄兎くんはどこのチームに属しているのかも教えてくれない。


街中で時々その姿を見掛ける時も一緒にいる相手は様々で、『爆麗』の特服を着た人間とタンデムしているところを見た時は驚いたもんだ。


(……そういやぁ…)


そこでもう一つだけ、玄兎くんについて確かなことを思い出した。


「玄兎くんってさぁ…」

「んー?」

「単車持ってないん?いつも誰かのケツに乗ってるよな。」


俺のおかわりと一緒に、玄兎くんの前にも置かれたおバぁの煮込み。

早速また箸を付けようとして、だけどおバぁに「純弥ちゃん」と名前を呼ばれて顔を上げた。


「年上いじめたらだめだよぉ。」

「はぁ?」


何だ、それ。

とつられるように隣を見れば、玄兎くんがこちらに背を向けて歩き去るところだった。





王冠と道化

結局玄兎くんの分の煮込みも食べることになった俺は夕飯が入らず、また可奈子にギャースカうるさく言われるはめになった。


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嘘つき、ロンリー。