もしかして:喜劇?

ドラケンと告白魔


※ダンスボーカルグループ『東京卍會』。
※交際中。









俺はドラケンこと龍宮寺堅のことが好きだ。

と、暇さえあれば周囲に言い続けてきたそれがつい先日、テレビ収録で「下積み時代の面白エピソード」として同じグループのメンバーにより全国的に披露された。


ドラケンと俺も出演していたため、当然のことながら話の流れでこちらへと向けられたマイクとカメラ、に少し不機嫌になったドラケン。

俺も心外だった。


なので、その横顔を見上げながら「ここは一つ、俺がはっきり言ってやらなければ…!」と使命感に駆られ―…


「昔の話なんてとんでもない!俺は今でもドラケンを愛してます!」







「…って公共の電波で愛を叫んで無事放送事故にもならずに済んだってのに、未だネットニュースですらドラケンと俺の熱愛報道が流れねぇのは何で?」


代わりにここ数日中週刊誌を賑わわせているのは、ドラケンと『東京卍會』公式の妹分ガールズユニットメンバーであるエマちゃんの「深夜のお食事デート」だ。

エマちゃんは『東卍』のリーダー(と書いて総長と読む)マイキーの妹でもあるため、記事には「兄公認?結婚秒読み確実!?」と煽り文句が長々と続いている。


「公認も何も、これって本当はマイキー入れての三人で普通に飯食ってただけなんだろ?」

「俺なんて昨日ドラケンの部屋にお泊まりしたのに…!」

「オマエはもう、そういうキャラだって世間に認識されてるから諦めろ。路チューしたってきっと『東卍の玄兎、酔うとキス魔に変身』って言われるのがオチだ。」


大体こういうのをいちいち真に受けてたらキリがねーよ、と苦笑混じりに三ツ谷がページを捲る。

確かにドラケンも、似たような理由で面倒だから訂正記事を出すつもりはない、と言っていた。


ちなみにエマちゃんからは最初の記事が出た時点で申し訳なさそうに、本当に申し訳なさそうに謝罪をされてしまい、むしろこちらが申し訳ない気分になってしまった。


エマちゃんってばマジ可愛い上にマジいい子。マジ推せる…って話が逸れた。


「あ、そうだ三ツ谷。それ読み終わったら切り抜かせてくれ。」

「は?」

「だってこの写真良くね?見ろよ、この絶妙な角度。ドラケン男前!エマちゃん美人!永久保存版にするしかねぇだろ?いやぁ、流石プロの仕事ってやつだよなぁ。」

「…………」


と、そこで何やら言いたげに雑誌から顔を上げた三ツ谷。

だが、その視線はすぐに俺から外れた。かと思えば。


「玄兎。帰るぞー。」

「おぉ、ドラケン。お疲れー。」


大好きなドラケンがドアから顔を覗かせ、俺はすぐさま腰を上げた。

今日もまた泊まる予定である。


そして、これからスタイリストさんと何やら打ち合わせがあるという三ツ谷に挨拶すれば、三ツ谷は持っていたそれを差し出してきた。


「大変そうだな…まぁ、頑張れよ。」

「おう!今日こそパパラッチされてみせる!」


雑誌を受け取りながらグッと拳を握って見せれば、「いや、オマエじゃねーよ」と三ツ谷。

その瞬間、背後から溜め息が聞こえてきたのだった。





前途多難なこの恋ですが

(どうぞ応援よろしく?)

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嘘つき、ロンリー。