スピットと悪友


『最近どうだい?』

「最近?特に何も…あぁ、そう言えば少し寒くなってきたかもな。」


あれほど暑苦しいと思っていたお前が、今は酷く恋しいよ。

なんて冗談混じりに肩を竦めると、『それは…喜んでいいのかな?』と苦笑する旧友。


そういえば、スピとはもう随分と長い付き合いになるが、こうして真正面から向き合うのは初めてかもしれない。



死んで初めて、なんて皮肉もいいところだが。



『白兎くん、手を出して。』

「…手?」


少し思考が飛んでいたせいで、スピの言葉に一拍遅れで反応を返す。

そして言われるがまま、俺は右手をスピに見えるように挙げ、軽く開いてみせた。


「こうか?」


するとスピが左手を同じように挙げたので、無意識にそこへ自分の手を重ねる。

が、特に何も起こらない。


「?スピ?」

『もう少し、このまま…』


首を傾げてみても、スピは柔らかな笑みを浮かべるだけで答えない。

まるで鏡のような体勢で数分、いや沈黙が長く感じただけで実際は数秒だったのかもしれない。


だが元々気の短い俺はそれでも痺れを切らし、「何がしたいんだ」と口を開きかけた矢先。


『ほら、温かくなってきただろう?』


スピが笑う。

俺は一瞬、何を言われたのか解らなかった。


そしてすぐ、画面に触れたところからじんわりと伝わってくる熱。


『どうだい?』

「…ばかやろう…」


ただしそれはパソコンの機械熱と、俺自身の熱だった。




貴方には程遠くて

(余計に、恋しくなった)


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嘘つき、ロンリー。