セバスチャンと夢魔


「最近の坊ちゃんはあまりよく眠れていないようで…」

「うへぇ、まじっすか。」


睡眠不足はお肌の大敵!と冗談半分に言ってみれば、何やら疑いの目を向けてくるセバスチャン先輩。

何すか、その目。

男が美容を気にして何が悪いんすか。


えぇ、そうです。
半分は本気でした。


「まさか、貴方が何かしているという訳ではありませんよね?」

「あ、そっちの疑惑っすか。」

「そっち、とは?」

「いえいえ、こっちの話です。」


つまり、これはあれだ。

俺がシエルお坊ちゃんの安眠を妨害していると疑われている訳だ。


心外だ!何を根拠に!と反論したいところではあるが、俺ってば夢魔ですもんね。

もしかしなくても最有力容疑者ですよね、はい。


「だがしかし!残念ながら俺は年下の!しかも野郎に興味なんてさらさらない!と声を大にして主張します!」

「…何ですか、その心の底からどうでもいい主張は。」

「ちなみにここ数日のアリバイもバッチリっすよ。この間の合コンで知り合った子と、夢の中でごにょごにょと…うふふふ。知りたい?ねぇ、詳しく知りたいっすか?」

「いえ、結構です。」

「まぁ、そう遠慮なさらずに。」

「それで坊ちゃんの件ですが…」


おっと、あっさりばっさりと切り捨てましたね。流石セバスチャン先輩!

と、さすがにそろそろイライラしてきたのか、セバスチャン先輩は満面の笑みで青筋を浮かべている。


なんて器用なんだ。

いや、それは別にどうでもいいとして。


(しかし、坊ちゃんの安眠か…)


モチはモチ屋、葬儀は葬儀屋ということで俺に話を持ち掛けてきたのだろう。

あのセバスチャン先輩が俺に相談してくるぐらいだ、よほど事は深刻な状況に陥っているに違いない。


ならば何とかご期待に沿いたいと思うのが、後輩心。

そしてあわよくば、ここらで恩を売っておきたいという下心。


給料アップ!有休消化!


「何か案はありませんか?」


そう問い掛けてきたセバスチャン先輩に、俺はちゃんと本当に真剣に悩んだ。

そして過去最高に悩み、悩んで、悩み抜いた結果、思い付いた秘策に「俺に任せて下さい!」と胸をドンと叩いたのだった。






悪魔のラバイ

そして俺は見事、坊ちゃんの夢に出禁となりましたとさ。

(挙げ句、しばらくは給料なしの休みなしって一体どういうことっすか先輩!)
(さぁ?自業自得ではないですか。)
(俺なりに頑張ったのに…!このひとでなし!)
(えぇ、悪魔で執事ですから。)


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嘘つき、ロンリー。