六年と同級生


「白兎が怪我をした、だと…?」









スパーンッ!と勢いよく開けられた障子に、部屋の中にいた白兎は一瞬、肩を震わせた。


一体何が起きたのかと目を瞬かせ、だが挨拶もなく入ってきた『客』達の姿を認めると、無意識に強張っていた全身から力を抜く。

ついでに溜め息を一つ、こぼした。


「もっと静かに開けろよ。破れたり壊れたりしたら、どうするんだ?」

「馬鹿たれ!そんなこと、気にしてる場合か!」


そんなこと。

どこぞの用具委員長が聞いたら怒りだしそうな言葉だ。


なんて他人事のように白兎が思っていると、文次郎とは違って静かに障子を閉めた仙蔵が、これまた静かに口を開いた。


「怪我をした、と聞いたが…?」

「怪我?って、あぁ…もしかしてこれのことか?」


そう言って、白兎が二人に示して見せたのは左の手の甲。

「保健室にはちゃんと行ったし、ただの掠り傷だ」と白兎の言う通り、その小さな傷痕はすでに瘡蓋になっていた。

仙蔵と文次郎はそれをじっくり確認すると、無言のまま顔を見合せ、頷き合う。


「それで、誰にやられた?」

「え?いや、別に誰とか」

「嫁入り前の大事な身体を傷付けられたのだ。制裁を下してやらねばなるまい。」

「は?いや、だから、というか嫁入り前って」


スパーンッ!と再び勢いよく開けられた障子に、部屋の中にいた三人は反射的に身構えた。

だが次の瞬間、飛び込んできた『物』達の正体を認め、すぐに警戒を解く。


そして白兎は先程と同じように口を開きかけて、


「留三郎に襲われたって本当か!?」

「ちょ、待て待て待てっ!」


一気に殺気だった周囲の状況に一人慌ててしまった。


「ん?違うのか?」

「違う!一体どこでそんな話」

「そうか…その怪我は留三郎が」

「だから違うって言ってるだろ!?これは用具委員の委員会活動を手伝って、俺が勝手に怪我しただけだ!つまり事故だ、事故!」


このままではとんでもない冤罪で仲間を一人、亡くしてしまうかもしれない。

そう今にも飛び出していきそうない組コンビを何とか押し止めていると、いつの間にか障子を閉めていた長次がぼそりと口を開く。


残念ながらそれは白兎の耳に届かなかったものの、代わりに小平太が「うんうん」と頷いてみせた。


「長次の言う通りだ!確かに嫁入り前で言いにくいかもしれないがな、大事なことだぞ!だから正直に話した方がいい!」

「いや、だから……というかお前ら、揃いも揃って俺をどこに嫁に出すつもりだよ…」


いい加減、話の通じない仲間達に白兎がうんざりしてきたところで、スパーンッ!と三度目。


そしてとうとう、バキッ!と不吉な音がそれに続いた。


「白兎、怪我したんだって!?何でもっと早く僕に言わないの!?」

「おい!誰だ!?誰にやられたんだ!?」


予想通りの登場に、もう一度溜め息一つ。


とりあえず障子の修理は食満にやらせようと、白兎は心に決めたのだった。






犯人は現場に戻ってくるそうです。

(伝言ゲームも、また然り)


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231500hitより。
キリリクありがとうございました!




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嘘つき、ロンリー。