優と先輩04


正直、俺の頭はあまり「よろしくない」方に分類される。

絡む連中も似たような類友ばかりで、自慢じゃないが、これまでにやらかした「馬鹿なこと」は数知れず、だ。


その場の空気次第で悪ノリし、人様にはあまり大きな声で言えないようなこともまぁ、色々やった。


良く言えば人生経験豊富、悪く言えば黒歴史。

最早墓場まで持っていくしかない、と思っていたそれらが役に立ったのは、高校を卒業する約半年前のことだ。


馬鹿なことをやらかしてきた先輩として、馬鹿なことをやらかそうとする後輩に、俺はストップを掛けた。


出来るだけ当たり障りがないように茶化して、端から何事もなかったかのように流して、そして誰にも悟られないように少しだけ距離を置いた。


我ながら上手くやったと、そう思っていた。


ほんの数日前までは。



『白兎先輩、優くんと何かあったでしょう?』



まるでデジャヴのような「再現」があった翌日。

実際その光景を目にした訳でもないだろうに、榛名の異変と俺とをすぐに結び付けた三笠は本当、流石としか言いようがない。







「榛名。」


俺の呼び掛けに振り向いたその顔は、確かに那智達が言うように少し調子が悪そうだ。


「今那智んとこに差し入れ、置いてきた。そしたらお前はもう帰ったって言うし…」


無駄にならずに良かった、と持っていた缶ジュースを差し出せば、「ありがとう、ございます」とぎこちなくそれを受け取る榛名。

俺の顔を見た瞬間から逸らされたままのその視線に思わず苦笑してしまう。


「なんか最近、不調らしいな?何か悩みでもあんのか?」

「……………」


どうやら男同士のキス(未遂)は、榛名にとってよほど堪えたらしい。

ナイーブなものだ。


(……まぁ、榛名の場合、高校の時の「彼女」の件もあるしな…)


もしかしたら「そういう方面」に関しては、もう少し慎重になるべきだったのかもしれない。

三笠が怒るのも無理はなかった。


「人生の先輩として俺が相談に乗ってやるよ、優くん?」


だから今度は間違えないように、とそう言った瞬間、何故か榛名がその目を大きく見開かせた、ように見えた。


「…あの、」

「うん?」

「先輩って確か、独り暮らし、でしたよね?」

「おう。」

「じゃあ、」


先輩の部屋に、行ってもいいですか?


榛名の言葉に、俺はあまり深く考えず二つ返事で返したのだった。




ベゴニアの受け取り方

(それは本当に、親切、ですか?)


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嘘つき、ロンリー。