オルガとオトナ


※CGS時代。








「いって…」


そう顔を歪めて腹部を押さえるオルガを、白兎は冷めた目で見返しながら鼻で笑った。


「笑わすんじゃねぇよ、糞餓鬼。てめぇのお袋さんよりよっぽど優しく撫でてやっただろうが。」


言い放った端から唸り声が止む。

痛みに歪んでいたはずの口元も、いつの間にか不敵な笑みへと変わっていた。


思わず舌打ちがこぼれる。


「つまり手加減してくれたわけだ。」

「まぁ、うちの大事な商売道具だからな。」

「そう邪険にするなよ。仲良くやろうぜ?」

「なかよく?」


まるで初めて耳にするもののようにその言葉尻を繰り返し、訝しげに眉を顰める白兎。

だがオルガは特に気にせず、笑いながらこれ見よがしに腹部を二度、三度撫で、再び白兎に向き直った。


目線はほぼ同じ高さ、だが歳は一回りは離れているだろう。

同じCGS所属とはいえ、立場も違う。


宇宙鼠と、それを追い立てる猫。


やはり白兎には、オルガの言葉が解らなかった。


「俺に懐くんじゃねぇよ。餓鬼は餓鬼同士、餓鬼やってろ。」


参番組隊長、オルガ・イツカ。

その度胸に頭の回転の速さ、若くして他を纏める統率力は確かになかなかのものだ。

だが、白兎から見ればただ図体がでかいだけで他の少年達の何ら変わらない。


「さっさと持ち場に戻れ。また三日月が探しに来るぞ。」


さっきのは聞かなかったことにしてやる。

そう白兎は吐き捨てながら、わざとオルガに肩をぶつけ、その横を通り過ぎようとした。


だが、


「……おい。」


すれ違い様、掴まれた手首に足が止まる。

苛立ちを隠すことなく振り向けば、オルガの顔が思った以上に近くにあり、白兎は一瞬驚いた。


本当に、ほんの一瞬のことだった。


「なぁ、やっぱり一発」

「失せろ、色餓鬼。」







オトナとコドモ

(オルガ、またサボって……それ、どうしたの?)
(ん?)
(鼻から血、出てる。)
(あぁ、別に何でもねぇよ。)

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五周年企画より。
企画へのご参加ありがとうございました!




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嘘つき、ロンリー。