ジーンと幼馴染


「遅かったな、ジーン。」


玄関のドアを開けると、妹の代わりに出迎えたのは幼馴染みだった。

だが別にそれは珍しいことではなく、ジーンも特に驚きはしなかった。


「お帰り。」

「…ただいま。」


ただ、少し疲れていた。

夜ももう遅く、一向に姿を現さないロッタも恐らくすでに眠っているのだろう。


自然と差し出された手に鞄を預け、ネクタイを外す。


「出張先で何かトラブルがあったんだって?」

「よく知ってるな。」

「ニーノに聞いた。あいつ、一体どこから情報仕入れてくるんだか…」

「…………」

「昨日帰ってくると思ってたから待ってたんだけどな、結局泊まらせてもらったよ。」

「……そうか。」


面倒だから着替えないでこのまま寝てしまおうか。

なんて思いながら、明日の朝一番にロッタに怒られる自分の姿を想像した。


「…なぁ、ジーン。」

「うん?」

「お前もロッタも、もう少し注意した方がいい。」

「注意?」

「年頃の娘の家に男が出入りしてるんだぞ。もっと意識しろよ。」

「何だ、それ。」


白兎も、勿論ニーノだって、そんな男ではないことは分かりきっている。

というより、もうほとんど家族みたいなものだ。


そう首を傾げていると、「異性として見られていないのも複雑なもんだな…」と白兎は呆れたように溜め息を吐いた。

つられるように欠伸がこぼれる。


「コーヒーは?」

「いや、いい。いらない。」

「寝るなら部屋に行けよ。」

「あぁ…」

「鍵はちゃんと閉めて帰るから、心配するな。」

「……泊まってけば?」


白兎が苦笑する。


「どこで寝ろって言うんだよ?」

「……それもそうだな…」


一瞬、同じベッドに並ぶ二人の姿が脳裏を過ったが、すぐに振り払う。

幼い頃とはもう、何もかもが違う。


「おやすみ、ジーン。」

「あぁ、おやすみ。」


そして白兎に見送られ、自室へ。


結局そのままの格好でベッドに倒れ込めば、ほのかに甘い匂いがした気がした。




夢でまた逢いましょう

(それがどんな夢か、よく覚えていないけれど)


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七周年企画より。
企画へのご参加ありがとうございました!




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嘘つき、ロンリー。