黒と大家の孫01


家庭科の調理実習にて、「これでイケメンの胃袋ゲット!」と鼻息荒く騒ぐ女子達の声をBGMに教師からまずまずの好評価を得た白兎。


その時、真っ先に頭の中に浮かんだのは、知り合いの中国人留学生の姿だった。


「ということで!今日は俺が夕飯を作りたいと思います!」


思い立ったが吉日。

早速学校帰りに大量の食材を買い込み、突撃したのは李舜生の部屋。


出迎えた李はいつもと違う白兎のその様子に一瞬目を見開いたものの、すぐに「言ってくれれば買い物も付き合ったのに」と柔らかくその目を細めてみせた。

そして白兎を部屋の中へと招き入れながら、勿論荷物を半分受け取ることも忘れてはいない。


「だって、それじゃあサプライズにならないじゃん。」

「何を作ってくれるんだ?」

「えっとね、ご飯と味噌汁と肉じゃがと―…あ。俺、授業で結構先生に褒められたから味は心配いらないよ!多分!まぁ、李さんの手料理には負けると思うけどさ。」

「そんなことはないだろう。」

「えー?だって李さんの、いつも美味しいじゃん。」


なので、本日のテーマは『質より量』。

そのためになけなしの小遣いをはたいた訳だが、日頃世話になっている李への感謝の気持ちだ。


さぁ、頑張るぞ!と意気込んんで勝手知ったる台所に立つ白兎。

だが、その隣に並んだ李も自身の袖を捲りながら手伝う気満々のようで、


「あ、だめだめ!李さんは座って待っててよ!」

「でも…」

「いいからいいから!」


なんて細やかな攻防を繰り返してようやく、苦笑しながらも李が腰を下ろしたのを確認し、白兎は満足げに頷いた。


「よし!んじゃあ改めて、やるぞ!」


まずはご飯を炊く準備をして、それから肉じゃがを煮込んでいる間に味噌汁を作る。

と簡単に行程を頭の中で描きつつ、白兎は自分の鞄から薄緑色のエプロンを取り出してそれを装着した。


そして後ろ手で器用に紐を結んでいると、ガタッ、と背後から物音が。


つられるように手を止めて白兎が振り向くと、何故か口元を押さえて俯いている李舜生の姿。


「?李さん?どうかした?大丈夫?」

「……何でもない。料理、楽しみにしてる。」


その肩は少し、震えているようにも見えた。





かいしんのいちげき!

(エプロン姿も効果覿面でした。)


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十周年企画より。
企画へのご参加ありがとうございました!


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嘘つき、ロンリー。