基地メンバーと不良パイロット


「よぉ、不良ども。」


土岐野と二人、格納庫の前までやって来ると、犬を抱えた白兎が顔も上げずにそう言った。

土岐野が肩を竦めて笑う。


「白兎に言われちゃ、おしまいだなぁ。」

「ダチを置いて行くような奴らは俺以下だ。」

「ダチって?」

「昨日までの俺達のことだよ。」


そして今日からの俺達のことだ、なぁ?

そんな白兎の問い掛けに応えたのは、犬だった。


だけどその犬も、笹倉さんの姿を見つけてすぐ白兎の腕の中から逃げ出す。


白兎は舌打ちすると「どいつもこいつも…」と吐き捨てて立ち上がり、ようやく僕達を見据えた。


「昨日、ドライブインに行ってたんだろ?どうして誘わなかったんだ。」

「いや草薙氏とお楽しみ中だったようだから、邪魔しちゃ悪いと思ってよ。」

「生憎、Mじゃないんでね。責め立てられるのは好きじゃねぇんだわ。」

「今度は何やった?」

「報告書出すの忘れた。」

「それだけか?」

「ここ1ヶ月の間。」

「あちゃー…」

「おい、函南。」


犬の行方を目で追いながら、ぼんやりと二人のやり取りを聞き流していると急に名前を呼ばれて振り向いた。


「俺の前で煙草を吸うな。」


苛立たしげな白兎に指摘され、無意識に銜えていたそれに気付く。

手にはマッチも持っていた。


「煙草、嫌いだった?」

「あぁ、嫌いだね。嫌というほど嗅がされて、もう腹も胸もいっぱいだ。」


そう言って僕から取り上げた煙草を銜え、僕から取り上げたマッチを擦った白兎はひどく不味そうにそれを吹かし始めた。

ついでに頭もいっぱいみたいだな、と土岐野がからかうように僕に耳打ちする。


と同時に、「あ、」と土岐野と僕の声が重なった。


白兎は気付かない。


「大体1ヶ月も前のことなんて、もう覚えてねぇよ。今更何も書ける訳ねぇっつーの。」

「ただの紛失だって言ってなかった?」

「そりゃ、口実に決まって……」

「部屋を探せばあるって、確かそうも言っていたわね。ここは貴方の部屋?」


分かりやすい皮肉の言葉に白兎の口元が一瞬、引き攣る。

その口から煙草を取り上げた草薙氏は、先程の白兎とは違い、不味そうにも美味しそうにも見えない表情でそれを吸い始めた。


「…お若いのにお耳が遠くて大変そうですね、ボス。」

「えぇ、子どもの貴方には分からないだろうけど。」


そして振り返った白兎に向け、たっぷりと紫煙を吐き付けた。








結局、報告書は見付からなかったらしい。

(罰掃除ってガキかよ…)
(僕達は子どもだろ?)
(…………あぁ、そうでしたね。)


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五周年企画より。
企画へのご参加ありがとうございました!




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嘘つき、ロンリー。