理一と友人
「白兎が教師になるなんて思わなかったな…」
テーブルの上に散らばった教科書を一つ手に取り、理一が愉しげに笑う。
ついでだからその辺片付けといてくれ、なんて頼めば二つ返事で返ってきた。
さすが自衛官、いやさすが理一と言うべきか。
すぐさま綺麗になったそれを見届け、俺は準備していたつまみの皿を運んだ。
「ガキの頃はお前や侘助に面倒見てもらっていたもんな。」
そう先程の会話の続きのつもりで話し出せば一瞬、理一の顔色が曇ったような気がする。
まさか、侘助の名前を出したせいか?
確かに昔からあまり仲は良くなかったものの、それももう時効だろうと思ったのだが。
「…そんなこともあったな。」
ごまかすように苦笑を漏らす理一だが、生憎ごまかしきれていない。
珍しいこともあるもんだ。
普段ポーカーフェイスが得意な癖に、ということはよほど二人の確執は深いのだろう。
残念ながらその辺りは外部の人間には分からない。
「今の自分があるのは陣内理一大先生のおかげですよ、本当。」
お礼につまみでもどうぞ。
そう大仰に皿を差し出して、この場はとりあえず流しておくことにした。
その意図に気付いたのか、いつもの笑みを浮かべて手を伸ばす理一。
だが、その手はつまみの上を通り越し、何故か俺の頭へと伸ばされた。
「……おい。」
「いつまでも可愛い生徒だよ、お前は。」
いくら批難の目を向けても理一は頭を撫でるのを止めない。
仕方なく俺は理一の気が済むまで、大人しくつまみを食べることにした。
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どちらがこども?
(どちらもこども。)
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嘘つき、ロンリー。