理一と恋人


とある喫茶店の一角。

互いの近況報告をたわいない雑談に交え、さぁこれからどこへ行こうかと話し始めた矢先のことだった。


「らしくないなぁ…」

「ん?」

「いつものポーカーフェイスはどうした、理一?今日のお前、すごく落ち着きがないぞ?」

「…そうかな?」


からかうような白兎の笑みに肩を竦め、平静を装いながらコーヒーを一口。


無理もない、数ヶ月振りの逢瀬だ。


電話越しの声ではなく、代理のアバターでもない。

本物の恋人が、魅力的な笑みを浮かべて今すぐそこにいる。


それを落ち着けと言う方が無理な話ではないだろうか。


(人目さえなければ、)


「俺に触れたい?」

「!」


一瞬声に出していたかと驚いた。

その様子すら『らしくなかった』らしく、白兎はまた笑った。


「…触れたい。」


虚勢を張る理由も特にない。

だから正直にそう答え、テーブル上に置かれた白兎の手に手を伸ばした。


のだが。


「でも、まだだーめ。」

「!」


あと数p、というところでその手は遠ざかってしまう。


「白兎…?」

「転勤前はずーっと傍にいたのに、構ってくれなかったのは誰だっけ?」

「…………」


耳に痛い言葉、身に覚えがある話だ。

にこにこと、相変わらず笑っている恋人が少しだけ怖い。


「…怒っているのか?」

「いいや?むしろ淡泊な理一から求められるなんて嬉しいぐらいだ。」


でも面白いから、俺が「よし」と言うまでおあずけな。

なんて悪戯っぽく微笑む白兎はやはり魅力的で、思わず喉が鳴った。





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(さぁ、我慢比べをやりましょう)
(勝敗は目に見えていますけど)


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嘘つき、ロンリー。