理一と幼馴染
シャッと引かれるカーテンの音に、瞼に感じるほのかな温もり。
反射的に布団の中へ潜り込めば、頭上から苦笑が降り注いだ。
いや、まだだ。
まだこれは夢の延長線上の可能性がある。
むしろ夢であってくれ。
なんて往生際悪く、足掻いていると駄目押しの一言。
「おはよう、白兎。」
あぁ、朝は必ずやって来る。
というか、
「………おま…りいち…」
「おはよう。」
「……おはよう、ございます……」
よく出来ました、と言わんばかりに布団越しに二度、ポンポンと叩かれる。
それを合図に欠伸がこぼれ落ち、ほんの少しだけ意識がはっきりとし始めた。
「理一…お前、何度言えば分かるんだ…朝っぱらから家に押し掛けるのは幼馴染みの特権なんだぞ…」
「寝ぼけてるのか?幼馴染みだろう?」
「分かった…悪かった…言い直す…朝起こしに来るのは幼馴染みの、可愛い女の子だけに許される行為なんだぞ…」
間違っても、いい年した男の出番ではない。
そしてそれは、いい年して幼馴染みの世話になっている俺の言えたことでもなかったが。
互いの休みが重なる度に、理一が俺の家に来るようになったのはいつからだっただろうか。
ちなみに以前『モーニングコール』という提案をしたことがあるが、着信履歴が凄いことになっただけで、それが実行されたのは一度きりだった。
「白兎は本当に朝が弱いんだな。」
さて、わざわざ強調した「可愛い女の子」という言葉も、さらりと流されてしまっては仕方がない。
諦めてようやく、もぞもぞと布団から這い出した。
休日とはいえ規則正しい生活を、と言うのが理一の主張、らしい。
職業柄というのも勿論あるだろうが、本当に真面目なやつだ。
おまけに言うと、まめなやつだ。
「狙いは一体、何だ…?まさかとは思うが、財産目当てじゃないだろうな…?言っておくが、お前より安月給だからな、あんまり期待するなよ…」
「まぁ、それは期待してないさ。」
やや被害妄想の強い自虐的な軽口に、肩を竦めて笑いながら乗ってくる理一。
そこでもう一度、欠伸を一つ。
(……ん?「それは」?)
「朝食の準備、出来てるよ。」
朝食。
その一言で完全に目が覚める。
直前まで何か考えていたような気もするが、とりあえずそれは気にしないことにした。
合鍵の出所も不問で
(そして、どこか愉しげな理一に「寝癖が付いてる」と頭を撫でられながら完食するまでが基本的な流れ)
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七周年企画より。
企画へのご参加ありがとうございました!
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嘘つき、ロンリー。