佳主馬と従兄弟


画面一杯の『Winner』の文字に、そっと小さく息を吐き出した。

その瞬間、集中が切れたせいか、急にうるさい暑さが戻ってくる。


(…あつ……)


喉が渇いて傍らのグラスに手を伸ばすと、お茶が入っていたはずのそれはすっかり溶けた氷だけ。

ないと分かると余計喉が渇き、空っぽのグラスを手に立ち上がった。


(お茶……いや、)


確か「スイカがある」と聞いたような気がする。


水分も欲しいが、糖分も欲しい。

なんて思いながら部屋を一歩出たところで、佳主馬は不意に立ち止まってしまった。


そこには、縁側にだらしなく横たわる従兄の白兎の姿が。


「…………」


いつの間にか見慣れてしまったその光景に、今ではもう親族の中に注意する人間はいない。

曾祖母の栄でさえ、「夏だねぇ」と遠い目をしてしみじみと呟くぐらいだ。


それはまるで涼を求める猫みたいだ、と言っていたのは誰だっただろう。

どちらかというと夏バテの大型犬だ、と佳主馬は呆れながら思った。


「…ねぇ。」

「んぁ?」

「プール、行くんじゃなかったの?」


カズくんも行く?と聞かれたのは昨夜のこと。

騒がしいのがいなくなれば清々すると断った覚えがあるが、今更ながら家の中が静まり返っていることに気が付いた。


蝉の声がよく聴こえた。


「プール、行く予定だったんだけど…おちび達が宿題やってないってことでドクターストップならぬオカンストップがかかりました…。」

「あぁ…」

「そして俺も邪魔になるからって、部屋への出入りを禁止にされました…」

「…あぁ……」


思わず納得してしまったが、どうやらそれに気付かないほど白兎は落ち込んでいるらしい。

その様子に佳主馬は溜め息を漏らした。


「…スイカ、あるんだって。食べる?」

「……食べたい。でも動きたくない…」

「仕方ないから持ってきてやるよ。」


そして返事も待たずに再び台所に向かって歩き出した佳主馬。


こんなに暑いと一緒にプールに行ってもいいかな、と思い始めていたのだった。




熱中症にご注意ください。

(結局、年少組の宿題は終わらず、プールは次回に持ち越し)
(そしてその時、佳主馬の姿はあったりなかったり?)


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プチ☆夏フリリク企画より。
企画へのご参加ありがとうございました!




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嘘つき、ロンリー。