阿良々木と元同級生
人魚の肉を食べると不老不死になる。らしい。
また一説によると、食べた人間はその食べた人魚と同じ容貌になる。らしい。
ということは、「同じ顔が何人もいたから不老不死だと勘違いされただけ」という可能性もなきにしもあらず。
なんて夢もへったくれもない仮説について一人つらつらと考察を重ねていたが、ふとそもそもが夢もへったくれもない話だとようやく気が付いた。
半分魚とはいえ、半分人間を食べるのだ。
そんな夢、あってたまるか。
と誰かに同意を求めたい衝動に駆られたが、生憎今隣にいる男がそれに賛同してくれるかどうか怪しいものだ。
踵を踏み潰して履いた傷だらけのローファー。
ベルトが職務を放棄したらしいズボンのポケットに両手を突っ込み、そこからキラリと覗かせるチェーンの先にあるのは恐らく財布もしくは鍵だろう。
そして学ラン下に着込んだグレーのパーカーに、顔半分を隠すように目深に被り込んだフード。
一瞬『吸血鬼に襲われた男子高校生』なんてアニメのようなキャラ設定が脳裏を過ったものの、その可能性はとりあえず捨てることにして。
ここで敢えて言っておくが僕のことではない。
僕の隣を、現在進行形で歩いている男の話だ。
見るからに品行方正とは言い難い、一昔前ならきっと『ヤンキー』等と呼称されていた、それ。
「なぁ?」と言った瞬間、「はぁ?」と返されるに違いない。
下手すれば拳で返されるに違いない。
なんて、少し偏見を持ちすぎるだろうか。
がしかし、この状況、端から見てもあらぬ疑いを持たれそうだ。
とある委員長なら、良からぬ関係を懸念しそうな。
(阿良々木くん、成績が落ちたからってグレちゃだめだよ?とか)
とある後輩だったら、良からぬ関係を妄想しそうな。
(阿良々木先輩、参考までにどちらが受けか聞いてもいいだろうか?とか)
そしてとある彼女だったならー…
「…随分と親しそうだったわね。もう少しで焼いてしまうところだったわ。」
まさかの後者だった。
そしていつ、どこで見ていたのかと突っ込むより先に、焼くのは餅であることを切に願った。
まぁ、希望が叶ったところで焼かれた餅が顔面に飛んでくるオチなんだろうが。
タイトル未定
(大して親しくもなかった元同級生との邂逅)
(小学校時代の面影もない変貌)
(そして音もなく交わされた、会話)
(違和感しかないのに違和感がないという違和感)
(怪異にはそれに相応しい理由がある)
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七周年企画より。
企画へのご参加ありがとうございました!
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嘘つき、ロンリー。