祖父と青年助手
「また出張ですか…」
荷造りをする背中にそうぽつりと呟けば、振り向いたのは何とも申し訳なさそうな顔。
「すみません、若先生。」
資料収集という名目で出張の多い白兎さんですが、時々、いえそのほとんどがおじいさんの趣味の一環です。
なので本当に責められるべくは、
「助手の私的使用はいかがなものかと思いますが。」
「私の物をどう使おうが私の勝手だろう。」
いつの間にかわたしの隣で同じように作業を眺めていたおじいさんに進言すれば、当然のように返ってきたのはジャイアニズム。
白兎さんも「俺も好きでやってることですから」と言いながら作業に戻りました。
「それに、先生ももうお年ですしね。」
そしてちょっとした意趣返しのつもりか、そう悪戯っぽく笑う白兎さん。
その言葉におじいさんは少し眉を顰め、ゆっくり白兎さんへと近寄って行きます。
「今のは聞き捨てならんな。」
「え?っ、ちょ、先生…!」
思いの外すぐ近くから聞こえた声に驚くも、今度の白兎さんには振り向く暇も与えられませんでした。
そのまま背後から腕ごと抱き込まれてしまい、作業の手は勿論中断。
「俺、まだ準備がっ」
「しばらく会えないんだ。これくらいいいだろう。」
慌てる白兎さんに構わず、埋めるようにその肩口へ顔を寄せる姿はまるで、構ってもらえない子どもが母親の家事を邪魔して甘えているようです。
ただ二人の立場を考えると、一歩間違えればセクハラで訴えられると思いますけど。
「…もう。」
ここで許容してしまう白兎さんだからこそ成立する、親密な雰囲気の濃密な空気。
明らかに調停官と助手以上の関係に見えますが、敢えてここでは言及しないことにします。
「…助手の私的使用はいかがなものかと思いますが。」
どうせもう何も聞こえていないでしょうけど、一応もう一度だけ形ばかりの進言をしておきました。
恋人さんたちの、こうしこんどう
その後。
白兎さんの手伝いで荷物を取りに行っていた助手さんが戻ってきたので、未だイチャつく二人を放置して、わたしたちは静かにフェードアウトしました。
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アンケートより。
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嘘つき、ロンリー。