真田主従と幼子
「ゆきさま、ゆきさま。」
「何だ、白兎?」
「わたくしは、何かお仕事はありませんかと聞いたのですが…」
「うむ。だから今、某の鍛錬を手伝っているではないか。」
幸村の言葉に、白兎が首を傾げるのも無理はない。
幸村に呼び寄せられてしばらく、何をする訳でもなく、ただ両脇に手を差し込まれて持ち上げられるだけ。
俗に言う、『たかいたかい』だ。
「こうして腕を鍛えているのだ。」
「………」
重石代わり、ということだろうか。
だが、子供ながらに賢い白兎はすでに気付いていた。
お館様と殴り愛をする幸村に、自分の重さなど何の負荷も与えることはない、と。
そして白兎は子供らしからぬ溜息を吐く。
「おろしてくださいぃー。」
「おぉ!おぬしも足の鍛錬か!」
せめてもの抵抗に足をばたばた、ばたつかせてみたものの効果はなく、むしろ幸村は楽しげに笑うばかり。
こうなれば顔面を蹴り上げる勢いで…と意を決した瞬間、ひょいと横から伸びてきた腕に攫われた。
「ひゃっ…」
「佐助!」
「旦那ってば、こーんな可愛い子をからかうもんじゃないよ。」
「ぬ…からかってなどおらぬぞ!可愛がっておるのだ!」
堂々と言い放った幸村だが、すっかり『鍛錬だ』と言ったことを忘れてしまっている。
白兎は気を取り直して、自分を抱えている佐助に「お仕事はありませんか?」と問い掛けた。
「じゃあ白兎ちゃん、俺様の手伝いしてくれる?」
「!はい!」
未だ幸村が不満の声を上げているが、そこは黙殺。
忍びの仕事の手伝いとは何だろうとわくわくしながら、ついでに早く下ろしてくれないだろうかと思いながら、白兎は佐助を見つめた。
すると佐助はにっこりと笑い、
「今度仕事で変装するんだけど、その着物合わせをお願いね。」
「………」
着せ替え人形にされるのは、目に見えていた。
はじめてのおしごと
は、まだまだ当分先のようですね。
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68000hitより。
キリリクありがとうございました!
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嘘つき、ロンリー。