風魔と姫兄様


※異世界トリップ。
※ナウシカ成代♂主。










美しい横顔だとそう思った。

それと同時に、その頬を濡らす赤が酷く不快で仕方ない。


「……コタ?」


視界の端で伸ばした手に気付いたのだろう。

振り向いた白兎が不思議そうに首を傾げたが、構わずにその頬へと触れる。


一瞬、小さな声が漏れるのを聞いた。


「ん…ありがとう、コタ。俺は大丈夫だよ。」

「…………」

「お前は?怪我していない?」

「………」

「そう…なら良かった。」


少し力を籠めすぎたのか、手を動かす度に「痛いよ」と苦笑する白兎。

だがそれはいつもの慈愛に満ちたものではなく、どこか陰りを帯びていて、


「……だめだなぁ、俺は…」


ぽつりと呟かれたそれは、確かに自嘲を含んでいた。


「争いが嫌いな癖に、怒りに我を忘れてはこうして過ちを犯してしまう…」


自分から外された視線、その先に転がるのは幾つもの屍。

今の時勢、何も珍しくはない光景だ。



「人間が、嫌いになりそうだ。」



珍しくはない、情景だった。


「……………」


顔の汚れをすっかりと拭い去り、今度はその両の手に取り掛かる。

やはりされるがままの白兎は、「あぁ、でも」と言葉を続けて小さく笑った。


「コタのことは好きだよ。」


そしてまた、少し力を籠めすぎてしまった。






風を待つ人

(その横顔はやはり美しく、そして)


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嘘つき、ロンリー。