元就と元親の後輩
何やら辺りが騒がしくなり、ゆっくりと意識が浮上していく。
そして目を覚ますと、そこは戦場だった。
「…何やってんですか、あんたら。」
飛び交う怒声とCD-ROMにそう声を投げ掛ければ、それらはピタリと止まる。
いや、CDが一枚だけ、勢いのまま飛び続けていた。
「いてっ!」
「ふん、馬鹿が…貴様のせいで起きてしまったではないか。」
「んだとっ!?」
「よく眠れたか、白兎。」
「え?まぁ、おかげさまで…」
「おい!毛利!」
何事もなかったかのようにこちらへ向き直った毛利殿は、心なしか優しい笑みを浮かべていて、俺は少し戸惑ってしまう。
が、その後ろで額を擦りながら怒鳴る鬼の姿を見て、すぐに我に返った。
「喧しい」と毛利殿がまたCDを投げつけようとするのを制し、二人の間に割って入った。
「今度の原因は何です?」
「あぁ?お前がいつまで経っても来ねぇから、呼びに来たんだよ。そしたら、」
「ここは貴様のような輩の来るべき場所ではないわ。」
「あぁ!?」
「あー、つまり俺のせいなんですね。すみません。」
第二回戦が勃発する前に先回りして、頭を下げる。
上手く勢いを削ぐことが出来たのか、元親さんは舌打ち一つ吐き捨てるだけで何とか落ち着いてくれたようだ。
「ったく…いつも思うが、お前、よくこんなところで寝られるな。」
「こんなところって…またそんなことを言うから喧嘩になるんですよ。」
そっと毛利殿の方を窺えば、こちらも大分落ち着いているようで「ふん」と鼻を鳴らしただけだった。
ここは吹奏楽部が長、毛利元就の領域である音楽堂。
敵地とまでは言わないが、確かに自分達が場違いであることに間違いはない。
これ以上、この兄貴分が余計なことを言う前に退散してしまおう。
そう思い、寝る場所を提供してくれた毛利殿に礼を言おうとそちらを向いた瞬間、腕を引かれて体勢を崩しかける。
慌てて何事かと問うより先に、気付けば俺はその腕の中に閉じ込められていて、
「無粋な奴め。白兎がここにいるのは貴様ではなく我を選んだからに決まっていよう。」
もしや別人では?
これをデレ期と言うのだ、と。
そういつぞや前田の兄さんが言っていたのを思い出しながら、俺は始まってしまった第二回戦をただ静かに見守るのだった。
(俺ぁまだ認めてねぇからな!うちの白兎は絶対やらねぇ!)
(貴様の許可などいらぬ。互いの気持ちが通じ合えば、それで充分よ。)
(…毛利殿、それ貴方のキャラじゃないでしょ…そして元親さんは俺の父親か何かですか?)
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嘘つき、ロンリー。