風魔と北条の孫
換気のために開け放った窓から流れ込む歓声はいかにも楽しげで、それらを耳にした瞬間、思わず苦笑してしまった。
時折混じる悲鳴はさすがにいただけないが、こんな天気の良い日に図書室にこもっている自分達よりも幾分健康的に違いない。
「…………」
「ん?あぁ、サッカー部と野球部がまた馬鹿やってるみたいだな。」
視線を感じて振り向けば、不思議そうにこちらを見る同級生の姿。
それに肩を竦めて応えながら、傍らのカートの上から本を取ろうとした瞬間、ふと違和感を覚えて手が止まる。
「…………?」
「あ、いや、何でもない。多分俺の気のせいだ。」
「……………」
「大丈夫。別に疲れた訳じゃ…それよりも風魔、お前の方こそ図書委員でもないのに手伝わせて悪いな。」
かくいう俺も図書委員ではない、がそこは司書の孫である手前致し方ない。
だから「いつでも帰っていいからな」と伝えれば、風魔はふるふると首を横に振って「かまわない」とその唇を動かした。
ここは一つ、配架のペースを上げて少しでも早く解放してやるのが最善策か。
そう意気込みを新たに、改めて本を手に取った瞬間。
「 」
「…え?」
風魔の口がもう一度、動いた。
だが今度は何を言われたのか分からず、反射的に聞き返してはみたものの、風魔は応えない。
それどころか、何事もなかったかのように本を数冊手に取り、配架作業に戻っていく背中を見送って、思わず首を傾げた。
そして何気なく傍らのカートを見れば、やはり本の量がどことなく増えているような気がした。
密やかな主張
(もっと、そばにいたい)
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嘘つき、ロンリー。