スザクと恋人
「お前達、いい加減にしろっ!」
そう怒鳴り声と共に「バンッ」と机を叩く音。
だが思ったよりそれは威力が出なかったらしく、教室内は何事もなかったかのように楽しげな賑やかさが続いていた。
いや、だからと言って全く効果がなかった訳でもない。
一番注意を引きたかった二人の視線を集め、黙らせることには一応成功しているのだ。
ただ、両手の痛みと引き換えに、ではあるが。
「っ……!」
「大丈夫かい、ルルーシュ?」
「何だ、虫か?虫がいたのか?」
気遣わしげに手を伸ばすスザクに、架空の虫を探して周囲を見渡す白兎。
そしてそのスザクの手をルルーシュが少々乱暴に振り払った瞬間、二人は不思議そうに首を傾げながらどちらともなく顔を見合わせ、
「って何見てんだよ、お前。こっち見んな。」
「別に白兎を見た訳じゃないけど…ちょっと自意識過剰なんじゃない?」
「はぁ?何だ、それ。何でお前はそう、いちいち突っかかる言い方しか出来ねぇわけ?」
「いつも絡んでくるのはそっちだろう?君の相手なんかしていたおかげでほら、ルルーシュが怪我したじゃないか。」
「それこそイチャモン以外の何でもねぇだろうが。というかお前、一体ルルーシュの何だ?何のつもりなんだ?おい、ルルーシュ。お前からも何とか言ってやれ。」
「ルルーシュにまで絡まないでくれ。」
静かになった、と思ったのも束の間。
再び言い争いを始めた二人を前に、今度は頭に痛みを覚えるルルーシュ。
一人一人見れば害はなく、それどころかむしろ好青年だというのに、二人寄ると触るといつもこれだ。
それほど相性が悪いのならいっそ距離を置けばいい、それが互いのため、周囲のため、ルルーシュのためだろう。
なのに、そうしないのは一体何故か?
答えは簡単、二人が『恋人同士』だからだ。
「…………」
頭を抱えながら、ルルーシュは切実に『恋人』の定義を問い質したかった。
物理的攻撃に出ていない分だけマシ?
放課後には『組み手』と称して互いの身体に青アザを作り合っていますが何か?
「なぁ、ルルーシュ。お前、どう思うよ?」
「おかしいのは白兎の方だよね?ルルーシュ。」
「知るか。」
そう吐き捨てながら周囲に視線を走らせるものの、シャーリーですら目を合わせてはくれない現状。
明らかなスケープゴート。
そして教室内はやはり何事もなかったかのように、いや何事もなかったことにして楽しげな賑やかさが続くのだった。
本当いい加減にしろ
(ただの愛情表現?)
(やるならよそでやれ!)
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七周年企画より。
企画へのご参加ありがとうございました!
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嘘つき、ロンリー。