炭治郎と青年


ゴロゴロと、まるで猫のように己の膝に懐く禰豆子の頭を撫でながら、白兎は思わず口元を弛めた。


自分にも「妹」が居たらこんな感じだろうか?

ただし、その「妹」の口には何故だか竹の枷が咥えられているのだが、白兎は特に気にしていなかった。


「いやいやいや!気持ちは解るよ!解るけどさぁ!駄目に決まってるだろ、それ!え?駄目だよねぇ!??」


と、突然聞こえてきた大声にビクッと一瞬肩が震える。

何事かと顔を上げれば、炭治郎が先程から変わらぬ立ち位置で、同じ年頃の少年と何やらずっと話し込んでいた。

慌てふためいているのはどうやら相手の、黄色い髪の少年の方らしい。

一方炭治郎は、白兎に背中を向けているため、その表情まではよく解らない。


「二人は一体、何の話をしているんだろうねぇ…」


問い掛ける言葉はぽつりと小さく、聞いていたのは恐らく禰豆子だけだろう。

勿論、返事はない。


だが白兎はやはり気にすることなく、ただただ己をじっと見上げ続ける禰豆子の頭をまた一撫でするのだった。

そもそも白兎が炭治郎、禰豆子の兄妹と知り合ったのはほんの数刻前のこと。

ぼんやりと縁側から夜空を見上げていると、どこからともなく禰豆子が姿を現したのが最初だ。


こんばんわ。今夜は星がよく見えますねぇ。

なんて声を掛けたら、ちょこんと禰豆子が隣に座ったので、ついでに茶やら菓子やらを勧めてみたりした。(この時から白兎は、枷の存在に気付いてはいたのだが)


そうこうしている間に、妹を探しに兄の炭治郎がやって来て、それから―…


(…あぁ、そう言えば、)


「ここは一体、どこなんだろうねぇ?」






「元いた場所に返してらっしゃい!!」


また黄色い髪の少年の、大きな声が聞こえた。




月も綺麗な夜でしたので

(そっかぁ…それじゃあ仕方ないかぁ…で済むならお巡りさんも鬼殺隊も要らないよねぇ!?ねぇ!?ちょ、炭治郎!聞いてる!?そんなにこやかに手を振ってないで俺の話、ちゃんと聞いて!?そっちの人も振り返さなくていいから、っていうかアンタはもっと危機感を持って!?ねぇ!?)


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嘘つき、ロンリー。