祖父とわたしの友人
調停官になった友人を久々に訪ねてみれば、出迎えてくれたのはその祖父だった。
…正直、俺はこの人が少し苦手だ。
「孫ならフィールドワークという名のサボタージュに行っとるよ。」
「…あぁ、そうですか…」
おい。しっかりとバレてるぞ、友人。
なんて少し思いを馳せて、ついでに『建て前』とは何かと考えてみる。
しかし学舎時代はしっかり者だという印象があった友人だが…このじいさんが一枚上手ということか?
あの孫にして、この祖父あり。
いやまぁ、実際は逆なんだろうが、それはこの際どうでもいいとして。
「あ、これ。お土産です。」
「おぉ。わざわざすまんな。」
気を取り直して土産を手渡せば、「まぁ、上がりなさい」と中に入るように促された。
ちなみに今、さも“我が家”な体で招かれたが、ここは調停官が詰めている事務所だ。一応、念のために付け加えておく。
「えっと…じゃあ、お邪魔します。」
「うむ。確か君は白兎くんだったかな?孫が戻るまでゆっくりしたまえ。」
「はい、ありがとうございます。あ、お構いなく。」
応接セットのようなソファーに案内され、そこに座れば出されたのは紅茶。
また礼を一つ言って、それを一口啜った。
「……………」
「……………」
「……………」
………気まずい。会話が止まってしまった。
というかじいさん、俺と一緒に座って紅茶を飲んでいるが、今仕事中じゃないのだろうか。
俺に気を遣っている?
ならここはもう一度、「お構いなく」とでも言うべきか?
「……………」
「……………」
こんな時に、場を和ますであろう妖精の姿もない。
普段は必要以上に沸いて出やがる癖に。
この場に足りないものは一体何だ?
楽しいこと?甘いもの?
他人の不幸ならここにあるぞ。
現在進行形で今、俺が不幸だ。
「蜜と呼ぶには生ぬるいです?」
「せいぜい砂糖水?」
「少ししょっぱいような?」
…………出た。
あれほど望んでいた真打ち登場だと言うのに、出たら出たでうんざりしてしまうのは俺のわがままだろうか。
まぁ、いい。
とりあえず、
「しょっぱいって言うな。」
人間さんの、しゃこうじゅつ。
(俺が友人の祖父を苦手にする理由、それは)
(いつも観察するように、ただただ静かに見つめられるから)
(そしてそれは、妖精の相手をしている今も、)
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嘘つき、ロンリー。