一護と幼馴染


※尸魂界篇と破面篇の間辺りの話。










―…ホロ゙ーウ!ホロ゙ーウ!


と突然部屋中に鳴り響く死神代行戦闘許可証、通称「代行証」。

すぐさま反応したのは一護とコンで、そんな二人の様子を見た白兎が一拍遅れでそれに気付いた。


「あ、ホロウが出たって?」

「おう、ちょっと行ってくるわ。コンが変なことにしねぇように見張っててくれ。」

「了解。」

「アァン?変って何だ、変って。ムサ苦しい野郎二人がこんな部屋ん中に閉じ籠もってシコシコ遊んでるよかぁ外で綺麗なお姉サマに声掛ける方がよっぽど健全だろうぐぁっ!?」


死神化した一護が手馴れた様子でコンのボディからポンッと義魂丸を取り出し、自身の体に飲み込ませる。

いってらっしゃーい、と白兎がゆるゆると手を振る。


「ったく…一護のヤロウ、毎度毎度乱暴しやがって…」

「そう言えばさ、コン、一護の死神ってどんな感じ?」

「あ?」

「いや、なんかちょっと見てみたいなーって思って。写真とか撮れねぇのかなぁ…ほら、心霊写真ってあんじゃん?あんな感じで。」

「オレ様が知るかよ!」

「浦原さんだっけ?あの人に頼めば何とかなりそうだけど。」

「…おい。」


不意に割り込んだ低い声にコンが振り向けば、まだ虚退治に向かっていなかったらしい一護が窓枠に足を掛けた状態でそこに立っていた。


「オマエ、絶対一人であの人んとこに行くんじゃねぇぞ。」

「浦原商店って定休日いつだろ?」

「おい、白兎!」


擦れ違う二人のやり取りを横目に「聞こえてねぇっつーの」とコンは内心鼻で笑った。


霊力のない白兎は何も視えないし何も聞こえない。

一護のように死神でもなければ雨竜のように滅却師でもなく、織姫やチャドのような特殊能力もない。


そんな至って普通の高校生である白兎が動くライオンのぬいぐるみに全く動じず、その口から平然と虚やら死神やらと言葉が出てくるのは少し奇妙だったが。


『君は元からそういう…何と言えばいいかな…オカルティックな話に興味があったのかい?』

『え?』


同じようにそれを不可解に感じたのだろう。

尸魂界に向かう一行を見送りにやって来た白兎に、雨竜が問い掛けていたのを何となく覚えている。


『いやぁ、別に…?』

『それなのに死神や尸魂界の話を信じる?』

『だって一護がそう言ってたし。』

『…黒崎が言えば信じるのか?全て?』

『うーん…俺達、昔からお互いに嘘とか隠し事とかしたことねぇからさ、今回もまぁそうなんだろうなーって感じ?』

『…………』


そして雨竜もコンも顔を顰め、溜息を吐き出した。

まるで子どもの約束事のようだ、と。


「おい、コン。テメーも白兎があの店に近付かねぇように」

「だあっ!もういいからオメーはさっさと行って来いっ!」

「え?何?一護、まだここにいんの?」


コンの視線を辿ってそちらを見やる白兎だが、その目に一護の姿は映らない。

それでも適当な方向に向けて「気を付けてな」と声を掛ける白兎に、ふと一護の表情が和らいだ。


「おう。」


その柔らかな声も、当然のことながら白兎の耳に届くことはなかった。





知らないことが多すぎる

(嘘はない、隠し事はない)
(だけどきっと、何も知らない)


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呪術祭(改)より。
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嘘つき、ロンリー。